コロナ危機下でも、特定の国同士では一時待機なしで入国を許可する「エア・ブリッジ」「トラベル・バブル」「ホリデー・コリドー」などと呼ばれる構想があったが、各国政府や国際機関、観光協会はそれに加えて、新たな取り組みや取り決めを推進している。まずはヨーロッパ域内での観光を再開し、その2~3週間後には、サマーシーズンのピークに間に合うよう域外からの観光客の受け入れを目指す。
英ザ・サン紙は、「エア・ブリッジ」を利用した夏休みのヨーロッパ旅行が6月にも再開決定しそうだと伝えている。
欧州委員会のEDEN(ヨーロッパの優れた観光地)ネットワークに属し、持続可能な観光を促進しているヨーロピアン・ベスト・デスティネーションズ(EBD)によれば、「ヨーロッパでは多くの国々が国境を開き、フライトやホテルも再開している」という。
「久しぶりに外出禁止が解かれたらヨーロッパを旅したいが、どこを訪れればいいかがわからない、各地でどのような安全対策がされているかを知りたい」という悩みに応えるため、EBDは新型コロナウイルスの影響が小さい(感染率が平均の600分の1というところまである)観光地20カ所のリストを発表した。
リスト入りした観光地は病院が近くにあり、住民1人当たり病床数がヨーロッパの中でも多い。また、宿泊施設やレストラン、店舗での衛生ガイドラインを細かく定め、チェックアウト後のエアコンフィルター交換、マスクの配布、ソーシャルディスタンスの徹底といった対策を行っている。
実際に旅行する際の注意点として、EBDは以下の4つを挙げている。
・油断せず、手洗いや咳をするときのエチケット、ソーシャルディスタンス、マスク着用を忘れない。
・体調が悪いときは旅行を控える。
・70歳以上、肥満、呼吸器疾患などの人は特に注意する。
・大切な人や現地の住民を守るのは旅行者の義務。
では、ヨーロッパで最も安全な、美しい観光地を紹介していこう。今回は、その前編。
この夏最も安全なヨーロッパ旅行、20の行き先(ワルシャワなど)
1. トビリシ(ジョージア)
ジョージアの首都トビリシは、世界的に見ても新型コロナウイルスの影響が小さい。政府の素早い対応により、抑え込みはきわめてうまくいっている。国内の感染率は、被害が特に大きいヨーロッパ諸国の260分の1。
ジョージアは旅行者も市民も安全・安心に休日を過ごせるような医療対策を整え、7月1日に国境を開放する。
トビリシは過去と現在と未来、文化とレジャーが混じり合ったオープンマインドな都市で、人気が年々高まっている。文化やグルメ、多様性、建築物を楽しむのにうってつけで、訪れた人は感嘆の声を漏らすにちがいない。
建築物は中世、新古典主義、ソビエト時代、現代の最先端のほか、オスマン帝国の壮麗な建物もある。
ジョージアは人口1000人当たり病床数がスウェーデンやデンマークより多く、トビリシは犯罪発生率でパリやロンドンの5倍も安全性が高い。
トビリシには最近人気の旅行者用アパートメントが多数あり、小規模なブティックホテルやゲストハウスも多い。
「しかもトビリシは、同じグループの同じ5つ星ホテルや別荘の宿泊費が、ヨーロッパの他の国の首都のわずか4分の1という場合もある」とEBDは教えている。