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独立系配給会社と観る「映画のいま」

映画「チョコレートドーナツ」より(C)2012 FAMLEEFILM,LLC

コロナ禍による自粛期間中、閉鎖されていた映画館とは対照的に、映像配信業界は目覚ましい成長を見せた。ネットフリックスは今年度1〜3月の決算で会員数15%増加を発表。アマゾンプライムとHuluも、自宅待機となっていた子どもにたちに向けたコンテンツの無料配信などでアプリ利用者数を大幅に伸ばした。

では、数多ある作品のなかから自分が観たいものを選ぶとき、皆さんはどんなことを基準にしているだろうか。「内容に惹かれて」「ジャケ買い」「キャストが好き」など理由はさまざまだと思うが、「タイトルの力」も大きいのではないだろうか。

そんな海外作品の邦題がどんなふうに決められているのか、配給会社であるビターズ・エンドの作品を中心に、お伝えしよう。

原題を生かした邦題の付け方


海外作品の邦題は、ほとんど日本の配給会社で決めている。配給会社が作品を買いつけたときには、もちろん日本での公開タイトルは決まっていない。原題もしくはインターナショナルタイトルが決まっているくらいだ。

一般的に作品を買いつけると、特に観て欲しい客層(ターゲット)を想定しながら、まずは公開する劇場を探して決める。そして、邦題はそのターゲットに届きやすいようなものを考えていく。

私たちが邦題を考えるときに大切にしているのは、原題を極力生かすという大前提のもと、「キャッチーであること」「覚えやすいこと」「他と差別化ができること」「作品の特徴を端的に表すこと」という点だ。これはすべての商品のネーミングと共通することだろう。

場合によっては、監督や製作会社が「このタイトル以外は認めない」と最初から断りが入っていて、一切変えられない場合もあるが、多くは公開する国のタイトルは、その国の配給会社が主となって決めることができる。

海外作品の邦題の付け方には、2つの大きなパターンがある。ひとつは原題を生かしたもの、もうひとつは反対に原題からはかけ離れたものだ。

原題を生かした邦題のパターンを、ビターズ・エンドがずっと配給してきたベルギーのダルデンヌ兄弟の監督作品を例にとって見てみよう。「La Promesse(約束)」(1996年)は「イゴールの約束」、「Le Fils(息子)」(2002年)は「息子のまなざし」、「Deux jours, une neuf(2つの昼と1つの夜)」(2014年)は「サンドラの週末」という邦題になっている。

これらは原題を生かしながらも、日本独自のニュアンスを加えたものだ。原題に主人公の名前や「まなざし」などの言葉を入れることによって、そのままだと漠然としすぎる原題のストーリーや内容をイメージしやすくしている。


『息子のまなざし』デジタル配信中(U-NEXT)(C)Les Films du Fleuve

3つ目の「サンドラの週末」は一見原題とはかけ離れているように見えるかもしれないが、これは言葉を言い換えたもの。「2つの昼と1つの夜」は劇中で土曜日から日曜日のことを指しているので、「週末」とした。こうすることで、より具体的になっている。

文=藤森朋果

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