コロナで課題が浮き彫りに── 「実験思考」は組織をどう変えるのか

約1ヶ月間の緊急事態宣言が解除され、街には徐々に人が戻りつつある。いまだ感染者は確認されており予断を許さない状況だが、社会全体が新たな日常に馴染もうと少しずつ動き始めてきた。

身近に起きた大きな変化のひとつは、働き方だ。外出自粛が推奨された期間、多くの企業がツールや環境整備を急ピッチで進め、リモートワークが一気に広がった。

しかし、システムはすぐに導入できても人々の意識や行動はそう簡単には変わらない。出社か在宅か、そんな議論だけでなく、世界の様相が激変するこれからの未来をどのような心持ちでサバイブしていかなければいけないのか、それがいま問われているのである。今回、そんな問いを2人の実践者たちに投げかけてみた。

ひとりは、博報堂のCMプランナーを経て5年前にオランダに移住した吉田和充氏。現在は日欧をまたいだクリエイティブプロジェクトやスタートアップ支援を手掛け、「多様なチームメンバー間のリモートコミュニケーションが当たり前」の日常に身を置く。もうひとりは、中竹竜二氏。中竹氏はスポーツとビジネスの両分野でグローバルリーダー育成する“コーチのコーチ”として、国内外を飛び回ってきた人物だ。

日本、そして世界の組織がこれから身につけるべき姿勢、そして求められるリーダーシップとは何なのか、話を聞いた。

トレンドではなく「シフト」へ


──まず、新型コロナウイルス(以下、コロナ)がもたらした働き方の変化について。外出自粛期間が続いたことで、お二人のワークスタイルにも影響はありましたか?

吉田和充(以下、吉田):僕自身の働き方は、実はほとんど変わっていません。というのは、オランダはそもそも多国籍文化で、柔軟なワークスタイルの先進国。リモートワークや在宅ワーク、一つの業務を複数のワーカーが共有するワークシェアが浸透していて、必ずしも「毎日出社すること」が前提になっていないんです。例えば500人が働く企業のオフィスが300人分のキャパシティしかない、なんていうこともよくある話で。そんな環境に僕はすっかり慣れているので、コロナ前も後も、働き方は大きく変わっていないというわけです。

変わったのは、主要取引先である日本の皆さんの意識です。打ち合わせをオンラインで進めることや在宅で仕事をすることへの抵抗がかなり減りましたよね。僕は相当やりやすくなりましたし、以前より日本のパートナーとの交流が増えたことはうれしい変化です。

中竹竜二(以下、中竹):私もオンライン会議は以前からよくやっていたのですが、一気に周囲も活用し始めたので仕事がより効率的になりましたね。大きく変わった点としては、国内外の出張がなくなることにより移動に費やしていた時間がカットされたことで、いい意味で濃密に仕事ができるようになりました。例えば半日以上、連続でミーティングに没頭していることもあります。私はまったく平気なタイプなのですが、ただ人によっては「リモートワーク疲れ」が蓄積する頃かもしれませんね。

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文=宮本恵理子

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