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2020.06.01 16:30

3密下のオペレーターを救うことはアフターコロナの必須課題だ

Photo by Shutterstock.com

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新型コロナウイルスの問題は、さまざまな業界に打撃を与えている。休業要請による売り上げの低迷がクローズアップされがちだが、3密状態での業務が強いられているという点において、コールセンターで働くオペレーターの不満の声は深刻だ。一方で、コロナ禍とは関係なく、もとより顧客との貴重な接点という意味で同部門の重要性は増してきていた。

チューリッヒ保険会社は、東京本社オフィスと大阪オフィスの全部門の業務を4月8日より在宅勤務に移行すると発表した。そこで大きな注目を浴びたのは、カスタマーケアセンター(コールセンター)および保険金支払い部門の業務も、在宅勤務に含まれていたことにある。

そのシステムを提供したのは、日本アバイア。もともとはAT&Tの製造部門であったが、通信自由化により分割されたのち、企業向けの製品を扱う会社として独立した経緯をもつ。同社は海外や日本国内において、コールセンターソリューションを提供。高いシェアを占めている。そこで、日本アバイアの代表取締役社長である和智英樹氏に、コールセンターの在宅勤務事情について話を聞いた。

技術があればできるというものではない


「弊社では2010年、すでに『one-X Agent』という在宅勤務を想定したソリューションを発表しています。働き方の多様性を広げることや、24時間対応に対処するため、地理的・時間的な問題を解決するという目的で生まれたものです。もちろん、今回のような非常時のBCP対策という点も想定していました」

同システムを採用することで、会話の通話録音、チャット、顧客データベースへのアクセス、ナレッジマネージメントシステムなど、さまざまな連携をさせながらコールセンターと同等の業務を在宅でおこなうことができる。つまり、技術的にはすぐに在宅勤務化することができる。ならば、「すぐにでも導入すべきだ!」と思うが、話はそう簡単ではない。

「真っ先に問題になるのが、個人情報保護に関することです」

これは誰もが思い描くことだろう。自宅のPCに情報を残さないシンクライアントシステムもあるが、すべてを解決するものではない。画面を写真に撮る人がいたらどうする? 極端な例だが、頭に記憶した場合は? など、エンドレスな議論になりやすい。また、個人情報保護に関しては各国によって基準が違うだけでなく、各コールセンターが扱っている内容によっても状況は異なる。

なお、チューリッヒのケースでは、シンクライアント(必要最小限の情報を手元に、情報の多くは管理されたサーバーに存在させる方式)を利用してオペレーターが仮想デスクトップ上で顧客情報を管理。加えて、オペレーター自身のPCデスクトップに情報を保存しない。

「その次にくるのがオペレーションの問題です。コールセンターには、何秒以内に何割の電話を取るべきなど、KPIの細かい基準が各社にあります。非常時とはいえ、どこまでの品質を担保するのかは経営陣も含めて共有すべき課題です。さらに、オペレーターさんが自宅でどのようにパソコンやヘッドセットを操作するのかなど、細かなレクチャーをいつ誰がおこなうのかも考えないといけません」

非常時だからと、「はい、明日から在宅勤務です」というわけにはいかないのだ。そう考えると、4月8日の時点で在宅勤務を実現させたチューリッヒ保険会社は、事前準備がかなりできていたと予想される。

「チューリッヒさんは何年も前から在宅エージェントを導入しようと取り組んでこられていました。その下地があったことが一番大きいです。現在、『これから導入するにあたり、準備期間はどれくらい必要か?』というお問い合わせが多いですが、ケースバイケースで、お答えするのが非常に難しい。ひとくちにコールセンターと言っても、業務のバリエーションはさまざまですから。全国のコールセンターさんが悩まれているところです
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