では、実際に正答率が低かった問題をやってみよう。ぜひ回答を考えてみて欲しい。問題を読むときに答えが見えてしまっては意味がないので、まず3つの問題を先に紹介しよう、
まずはインフレについての問題から。
問題1. 次の文章は正しいか?
高インフレの時には、生活に使うものやサービスの値段全般が急速に上昇する。
次は複利についてだ。
問題2. 100万円を年率2%の利子がつく預金口座に預け入れました。それ以外、この口座への入金や出金がなかった場合、5年後の残高はいくらになっているか?(税金は考慮しない)
1. 110万円より多い
2. ちょうど110万円
3. 110万円より少ない
4. 上記の条件だけでは答えられない
5. わからない
最後に分散投資について考えてみてほしい。
問題3. 次の文章は正しいか?
1社の株を買うことは、通常、株式投資信託(何社かの株式に投資する金融商品)を買うよりも安全な投資である。
大学生には金融リテラシーを学んで欲しい
どうだろうか。あまりにも簡単すぎると思った方もいるかもしれない。では、回答をみていこう。
まず、問題1について、正解は「正しい」である。この問題での日本の正答率は62%だった。他国では香港の正答率が97%、カナダは92%であり、日本の正答率が低いことがわかる。ただし、日本の正答率を年齢階層別にみれば、60歳以上では8割と高くなっており、過去に日本でも物価が継続的に上昇する環境を経験していた世代は理解をしていると考えられる。
次に問題2だが、正解は「110万円より多い」だ。日本の正答率は44%と半分に満たない。ほぼゼロ金利状態の預金口座にお金を預けているだけだと、複利を意識する機会はないが、実際に投資をすれば配当金が出た時にそれを受け取るのか、再び投資にまわすのかなど選択をする機会があるため、必然的に複利について考える機会が生じる。
最後の問題3は「間違っている」が正解となるが、日本の正答率は47%と、またしても半分に満たない。他国ではこの問題の正答率は韓国が84%、ヨルダンは80%となっている。
最近は大学生が在学中に起業をしたり、投資をしたりするケースも多くなってきた。また、このコラムでも何度も取り上げてきたが、投資詐欺の対象になることも増えてきた。
一見、この2つの話は関係がないように見えるかもしれないが、金融リテラシーが高まれば、前者の成功確率は格段に上がり、後者は事前に多くの大学生が詐欺被害を回避することができるだろう。
人間は何か大きなイベントがないと新しいことに取り組むことができないものだ。大学生には、ぜひ、この激変のタイミングで、金融リテラシーについても学ぶ機会を自らつくり出していって欲しい。
連載:0歳からの「お金の話」
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