脱グーグル後のファーウェイが狙う「コネクテッドカー」の覇権

ファーウェイ開発の「HarmonyOS」(ThamKC / Shutterstock.com)

ファーウェイは、米政府による規制が解除されないことを見越し、徐々に脱グーグルの動きを強めている。中国政府が5GやAIに莫大な投資をする中、ファーウェイは5G機器やコンシューマデバイスを超えた新たな事業機会を模索している。

ファーウェイは、昨秋「Mate 30」をリリースした頃から、新たなコネクテッドカープラットフォーム「HiCar」について盛んに宣伝するようになった。HiCarを「アンドロイドオート(Android Auto)」やアップルの「CarPlay」の類似サービスと思う人がいるかもしれないが、ファーウェイのアプローチははるかに革新的だ。

HiCarは車載APIと連携し、クラウドベースのサービスの提供を可能にするものだ。ファーウェイは10社以上の自動車メーカーにHiCarを提供することを目指している。この戦略が当たれば、ファーウェイはスマホ事業の不振を補うと同時に、数百万人のユーザーに新たなベネフィットを提供できる。

既に上海汽車集団とGMの合弁会社が、「バオジュン(宝駿)」ブランドにHiCarを搭載すると発表した。年内には、海外の自動車メーカーも追随すると予想される。Nikkei Asian ReviewとChinaPEVによると、この中にはアウディが含まれるという。

ファーウェイは、コネクテッドカー技術への投資を静かに進め、中国における自動車向けプラットフォームのリーダーになることを目指している。

ファーウェイの「インテリジェント・オートモティブ・ソリューション(IAS)」部門は将来的に、最も重要な部門になるかもしれない。オートモティブは、同社がこれまで莫大な投資を行ってきたAIと5G、クラウド、IoTの結晶であり、アップルやグーグル傘下のウェイモ、テスラと競合することになる。

世界最大の自動車市場である中国


中国は世界最大の自動車市場であると同時に、自動運転技術で世界をリードすることになるだろう。このため、ファーウェイは非常に有利なポジションにあると言える。

ファーウェイは、車の開発には興味はない。同社が長期的に目指すのは、他社が開発した自動車に、コンピューティングとコミュニケーションのプラットフォームを組み込むことだ。短期的には、ユーザーの運転体験を向上する野心的な計画を立てている。
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編集=上田裕資

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