自動運転の安心・安全を高める
ソニーがコンセプトカーを出展した意図と、これに載せた技術の内容を紹介しよう。
ソニーは今から2年前のCES 2018で自社のセンサー技術を複数組み合わせて、自動運転の安心・安全を高める「Safety Cocoon」というコンセプトを発表している。その中核を担うのがソニーが得意とするイメージングセンサーであり、2020年のCESには現在開発を進めるソリッドステート式LiDAR(レーザー光による測距技術)、および車の中に乗る人物や物体を検知・認識してジェスチャーコントロールによる直感的な操作などを可能にするインフォテインメントシステム向けのToF(Time of Flight)センサーなどを組み合わせて、合計33個のセンサーを新しいコンセプトカーに配置した。
ソニーの社長 兼 CEO、吉田憲一郎氏が登壇するステージでコンセプトカーがお披露目された
ADAS(先進運転支援システム)の自動運転技術のレベルは搭載される技術によりレベルが0から5まで段階的に分けられている。今回ソニーが展示したコンセプトカーには、ドライバーの運転をサポートする段階までの「レベル2+」の実現を視野に入れたセンシングシステムが組み込まれている。完全なモックアップではなく、車輪が回り走ることもできるが、自動車としての安全基準をクリアしていないためナンバーは取得できないという。
年内には日本や米国を含む地域でナンバーを取得できる段階までさらにブラッシュアップを図り、公道走行を実現する考えだと、コンセプトカーの設計を担当したソニーのAIロボティクスビジネスを担当する川西泉氏が、日本人記者を集めたグループインタビューで答えている。
なお川西氏はソニーのaiboの開発責任者としても知られている人物だ。今回のコンセプトカーもaiboと同じく、ソニーのデザイン部門であるSony Designが手がけている。図面をベースに、カナダのマグナ・インターナショナルなどパートナーが協力してコンセプトカーとして形にした。CESの発表時点で世界にたった1台しかないコンセプトカーだという。