世界でドローン・レースは次なる発展期に突入。日本は規制の壁を越えられるか

日本で3月末に無観客で初開催された「スーパー・ドローン・チャンピオンシップ」


それでもドコモとしては、ドローン・レースそのものビジネス機会を確認する狙いを達成した。また、屋内でレースそのものの実績を得たことで、5Gによる運用に向け、その将来性を確信できた。

さら観戦者として、スピード感あふれるスリリングなレースを味わえ、また圧倒的リードを保っていたとしても、わずかなミスでドローンがクラッシュ、最後まで勝敗のわからないスポーツの醍醐味も堪能できた。

「スーパー・ドローン・チャンピオンシップ」
最後まで勝敗の分からないレースが繰り広げられた

海外ではすでにスイス・ローザンヌに拠点を設ける国際競技連盟、国際航空連盟(Fédération Aéronautique Internationale、以下FAI)公認レースもスタート。FAIは1905年創設、世界のスカイスポーツを公認するスポーツ団体であり、バルーン・レースやハングライダー、パラグライダーなどを管轄している。

2018年のFAI公認レースでは賞金総額3000万円となっており、日本でもレース実績を積むことで、こうした国際レース開催への道が開かれて行くことだろう。

コロナ禍でも臨機応変に挑む


興味深い点は、世界的な新型コロナウイルス蔓延の中、ドローン業界でもリアル・レースの開催延期を強いられる苦境に追い込まれながらも、急遽「DCLゲーム」と銘打ち、エキジビション形式でレースを継続していることだ。

未曾有の世界的危機に直面しながらも、こうして臨機応変に解決に挑むメンタリティは、日本型ビジネスにおいて、もっとも欠落しているに資質かもしれない。未来とは、常に想定外の変革に富んでいる......そんな教訓でもある。

ちなみに最近では、ドローンというとすっかり回転翼のついた、あの物体を指し示す言葉として活用されているが、もともとも無人飛行機を指す。つまり、FPV (First Person Viewの略) と無線通信が高度化、日常化されれば、エアレースを無人機化することも容易だろう。

また、地上を疾走する危険性の高いF1やMotoGPなどもFPVでの操縦に適しているよう思われる。人命を尊重し、レースから危険を排除する未来があれば、レースそのものは遠隔操作により開催される世界がやって来ないとも限らない。

時代ごとによるルール変更が加えられるよう、テクノロジーがスポーツ界に変革をもたらす未来も予見される。

我々は好むと好まざるとにかかわらず、常にそうした未来の扉の前に立たされている。


連載:5G×メディア×スポーツの未来
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文=松永裕司

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