同社は、新型コロナウイルスの感染拡大により、自宅待機を命じられた人々に、日々の暮らしに必要なアイテムを届けている。最も人気の商品は、コーヒーやトイレットペーパー、クッキーなどだという。
Wingは米国のクリスチャンズバーグや、フィンランドの首都ヘルシンキ、オーストラリアの2都市で実験を進めており、過去2週間で1000回以上のデリバリーを行ったという。「当社は現在、過去の水準を大幅に上回る回数の配送をこなしている」と、Wingの広報担当のJacob Demmittは話した。
クリスチャンズバーグでは先日から、地元のベーカリーやコーヒー焙煎店が対象店舗に加わった。ベーカリーのオーナーのDonna Speaksによると、ドローン配送が始まってから、店舗のみで販売していたクロワッサンやマフィンの売上が2倍に伸びたという。
「私たちは想像もしなかったボーナスを受け取っている。非常にありがたい」と彼女は話した。
2014年にグーグル社内のProject Wingとして始動したWingは、昨年10月からクリスチャンズバーグで配送サービスを始動した。米国の居住地エリアで実施されるドローン配送サービスはこれが初の試みだ。同社は米連邦航空局(FAA)の認可を受け、まず薬局チェーンのウォルグリーンの商品を届け始めた。
Wingのドローンは、高度約45メートルの上空を時速100キロ程度で飛行し、目的地付近に着いたら7メートル程度まで下降し、専用ボックスに入れたアイテムを投下する。1回で運べる荷物の重量は1.3キロ程度という。
感染拡大を受けてウォルグリーンは、パスタや缶詰、ベビーフードなどの物資を配達メニューに追加した。Wingも新たに地元の食料を扱う店とパートナーシップを結んだ。
現地でベーカリーを営む61歳のSpeaksによると、Wingのデリバリーは今や、彼女のビジネスに欠かせないものになった。彼女は以前、4人の社員を雇っていたが、感染拡大以降は娘と2人で店を切り盛りしている。
「ドローン配送のおかげで、売上を急回復させることが出来た」とSpeaksは話した。
別のカフェのオーナーのLuke Brughも、ドローン配送により、缶入り飲料の売上を2倍に伸ばせたと話した。
Wingは現在、配送サービスを無償で提供しており、様々なデータを収集した後に収益化プランを検討する計画という。「我々が提供するもう一つのメリットは、ドローンにチップを払わなくて済むことだ」とWingのDemmittは話した。