世界でドローン・レースは次なる発展期に突入。日本は規制の壁を越えられるか

日本で3月末に無観客で初開催された「スーパー・ドローン・チャンピオンシップ」

「ドローン・レース」を実際にその目にした経験のある日本人はどれほどいるだろう。

日本での観戦がなかなか難しいレースだが、中国、アメリカ、ヨーロッパなどではすでに商用レース・カテゴリーとして確立されつつあり、「未来のスポーツ」として脚光を浴び久しい。

日本でも撮影用、作業用としては、すっかり市民権を得たドローンではあるものの、自由に飛び回る「レース」ともなると、規制大国ではまだまだ市場整備の余地が山積みだ。

撮影用とレース用、ドローンの違い


撮影用ドローンには、ジャイロやナビなどが組み込まれ、ある程度は自動管制されている。しかし、レース用ドローンはトーイストアで入手できるミニドローンのように全手動で飛び回るように設計されている。

レースにおける最も大きな違いは、ドローン・レーサーはヘッドマウントのアイウェアを装着し、ドローンに搭載されたカメラから送信される映像を観ながら操縦する点だ。レーサーは自身がドローンに乗り込んでいるかのような疑似体験をもとに操作。これをFirst Person View(FPV)と呼んでおり、モータースポーツの最高峰F1の中継で観られるオンボード・カメラを介し、操縦していると想像してもらえれば理解しやすいはずだ。

世界的にはドローン・レースは黎明期から次の発展期に入っているとして過言ではない。

アメリカでは「ドローン・レーシング・リーグ」(DRL)が主流であり「アリアンツ・ワールド・チャンピオンシップ」というサブタイトルからも把握できるよう「アリアンツ」がタイトル・スポンサーに入っている。

このほかにも米3大ネットワークのひとつNBCがオンエアを司り、BMW、SWATCH、Twitterなどがスポンサーとして名を連ね、驚くべきことに米空軍、はたまた戦闘機メーカーのロッキード・マーチンまでもがパートナーにクレジットされている。ドローンそのものはリーグのワンメイク・オリジナル機が用意され、140km/h以上のスピードで飛び回る。

LIVE観戦よりも、OTTなどによるオンエアをビジネス・モデルとして組み立てられており、広大なアメリカという国を考えれば、納得できる。

ヨーロッパでは、ドローン・チャンピオンズ・リーグ(DCL)が主流。こちらはF1やエアレース、そしてXスポーツなどGEN-Z向けイベントの象徴となっているレッドブルがスポンサー。他にもBREITLINGなどスポーティさをイメージとする企業が並ぶ。ドローンは各チームがレギュレーションに適合したマシンを開発、それぞれの特徴を活かした機体でレースが行われている。

DCLには日本初のプロ・ドローン・レーサー・チーム「RAIDEN」も参戦。RAIDENは、DMM.comがスポンサーしており、日本でもドローン・レースがビジネスとして動き出した感がある。


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文=松永裕司

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