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2020.05.03 11:30

旅行を断念した私がMoMAオンライン講座を受けてみた #ポジティブチャレンジ


授業でも触れられるトレイボン・マーティン射殺事件はその例の一つです。2012年2月26日の夜にフロリダ州のサンフォードにおいて、当時17歳だったアフリカン・アメリカンの高校生トレイボン・マーティンを、ヒスパニック系の混血で自警団員だった当時28歳のジョージ・ジマーマンが射殺した事件です。

フードをかぶって歩いていたマーティンに対して、「コイツは怪しい」と思ったジマーマンが「つきまとい」のような行動をし、それを不快に思ったマーティンとケンカが勃発。ジマーマンは丸腰のマーティンを射殺してしまいました。その後、フロリダ州は事件に「正当防衛法」を適用し、ジマーマンには無罪判決が下されました。

フードを被っていたというだけで怪しまれ、なぜマーティンは銃殺されなければならなかったのでしょうか。そして、ジマーマンへの無罪判決は果たして正当な判断だったのでしょうか。このような理不尽に対する怒りは、のちに黒人に対する暴力や人種差別の撤廃を訴える運動となり、Black Lives Matterという国際的な社会運動にも発展します。


トレイボン・マーティン射殺事件は、全米で論争が巻き起こる大事件となった(coursera)

私はこの事件のことを報道を通じて知っていましたが、その根幹にフーディーを着用する若者への偏見が分かち難く結びついていたとは知りませんでした。

ファッションは自己実現に大きく寄与すると同時に、それが原因で社会の偏見に晒されることもあります。その意味で、ファッションをデザインするとは、社会が抱えている差別や偏見といった問題にアプローチすることでもあるのだと知りました。またそうであるからこそ、ファッションの歴史を学ぶことは、社会を学ぶことでもあるし、他者を知ることでもあるのだと、この講座を通じて学ぶことができました。

演習後はテストで理解度をチェック


それぞれの演習の最後には理解度をチェックするテストが用意されています。形式は4択問題とTrue/False問題から10問。20分間で合格ラインは10問中8問正解と高めですが、8時間ごとに3回まで受験することができます。試験中は答えを戻って探しに行くことはできないので、授業中にしっかり話を聞いておく必要があります。

「わかるわかる!」とサクサク回答できる難易度のものから、「え……そんな話題あったかな?」思ってしまうような難しい問題まで、バランスよく問われる印象です。特に、あまり馴染みのないファッションアイテムについては、よく講義を聞いて細かくメモをとっておく必要があるかもしれません。私の場合は、インドの伝統衣装である「サリー」についての問題がとても難しく感じました。



合格できて一安心。間違えた箇所は講義の該当部分にまで戻って確認できる(coursera)

私の成績は80点でした。正直、勘に頼って回答した問題もあったので、本当に合格ラインギリギリと行った感じです。テスト後はフィードバックがあり、間違えた部分の正解を確認することができます。

実際に演習を終えると、アメリカの大学の授業を受けたような充実感がありました。講座を受ける前は、2時間の演習は長くて大変かなとも思いましたが、内容も楽しくてあっという間でした。また、今回学んだ洋服のデザインの歴史をヒントに、今度は自分のクローゼットの中にあるアイテムの歴史についても調べてみたいなと思うようになりました。一見不必要に思えるボタンや、単なる装飾だと思っていたステッチなどに、興味深い歴史が隠されているかもしれません。

例年のように旅行を楽しむのは難しい今年のゴールデンウィーク、MoMAの無料オンライン講座を利用して、ぜひアートと海外気分を味わってみてはいかがでしょうか。

Forbes JAPAN Webで展開する家でできる「#ポジティブチャレンジ」。次回のテーマは「向き合う」。女性エディターが、自分と向き合うためにあることに挑戦します。

(1日目の「整える」はこちら

文=渡邊雄介

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