コースは4~7週間で修了するカリキュラムが組まれており、動画やリーディング教材、練習問題、テストなどから構成されています。私は “Fashion as design” という講座を受講してみることにしました。テーマとして「ファッション」が一番身近に感じたからというのもありましたが、教材として動画がたくさん用いられており、3日坊主の私でも「これならついていけそうだ!」と感じたからです。
“Fashion as design”を受講。どれも魅力的なので、他のコースも覗いてみたい(coursera)
先生は、MoMAのキュレーター陣が担当します。授業は概ね動画を見るところからスタートしますが、まるで海外の大学のゼミに参加しているかのような臨場感を味わえます。Fashion as Designは、2~3時間ほどの演習が7本用意されており、以下の順で進みます。
1:Introduction(導入)
2:Heroes (ヒーローたち)
3:Silhouettes (シルエット)
4:Coutures(クチュール)
5:Lifecycle (ライフサイクル)
6:Modesty(上品さ)
7:Expression (表現)
これらを7週間で終えることが想定されていますが、それぞれのテスト提出期間内であれば、自分のペースで受講することができます。
メモ機能なども含めて、授業で用いるものは全てコース上で提供されるので、前もって準備しなければならないものは特にありません。もし自分で使い慣れたものがあるなら、電子辞書などは用意しておくと良いかもしれません。ちなみに動画には全て英語字幕がついているので、リスニングが苦手な人でも十分ついていけるでしょう。
動画にはスクリプトがついている。選択した部分を1クリックでメモに残せるのも便利(coursera)
ファッションの歴史を通じて社会を学ぶ
それでは授業開始。最初の授業は世界中のファッションアイテムの歴史について勉強します。アディダスのトラックスーツや、ナイキのAF1、コンバースのチャックテイラーなど、普段カジュアルな格好しかしない私でも知っているアイテムがたくさん登場するので、順調に楽しめます。 特に、私のように古着を集めるのが好きな方は、自分の持っているアイテムの意外な歴史を知ることができて面白いのではないでしょうか。
英語での授業に最初は少し抵抗もありましたが、字幕機能に慣れてくると、特に気にならなくなりました。注意点としては、リーディング教材を読むのに少し時間をとられるので、とりあえず自分の興味のある部分から読み進めていけば良いと思います。
ゼミのような雰囲気の動画。MoMAの研究室で授業を受けているような気分になる。
「ヒーロー」をテーマにした最初の授業では、「ブルース・リーが着用したトラックスーツ」など人物に焦点が当てられ、主にその観点からトレンチコートやレザーパンツなど、15のアイテムの歴史を学ぶことができます。
当時のブルース・リーの写真をヒントに、オリジナルに忠実なパターンを作成する(coursera)
私はその中でも特に、デザイナーのカービー・ジーン・レイモンドによる「フーディー」に関するプレゼンテーションが印象に残りました。
フーディーは、ヒップホップカルチャーの台頭とともにファッションアイテムとして人気を博し、今やカジュアルなアイテムの定番中の定番ですが、未だにアメリカの一部の人にとっては都市部の黒人の若者を連想させる服装であり、貧困率の高さや犯罪といった固定観念を呼び覚ます「引き金」になることがあるそうです。さらには「フーディーを着用している奴は怪しい」という偏見が、警察の不法行為を正当化してしまう場合さえあるといいます。