世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

Paula Bronstein/Getty Images

台湾の「マスク不足」対応が日本の先をいっている。買い占めが絶対不可能という「Eマスク」システムを実施するなど、IT技術を積極的に取り入れているのだ。

その中心にいるのが、台湾のデジタル担当政務委員(デジタル大臣)である38歳の唐鳳(オードリー・タン)氏。今回は、米外交政策専門誌『フォーリンポリシー』で「世界の頭脳100人」に選出されたタン氏を紹介する(関連記事:アベノマスク騒動を尻目に。台湾「Eマスク」システムの快進撃)。

日本でタン氏の名前が広く知れ渡ったのは、今回のコロナ騒動のタイミングではないだろうか。多くの国で見られるマスク不足。その代替案として、使い捨て医療用サージカルマスクの再利用方法を動画で紹介。わざわざ日本語に吹き替えたものや日本語テロップを掲載したことで、日本のネットユーザーを中心に知られた。



東京都のコロナ対策サイトにも改善提案


また、東京都が開設したコロナ対策サイトにもタン氏が関わった。同サイトは、陽性患者数をはじめ、コールセンターに寄せらせた相談件数、検査実績、都営地下鉄利用者数の推移などを掲載している。

珍しいのは、自治体のサイトにも関わらずオープンソースを取り入れており、誰でも修正が提案できるのことだ。ここにタン氏が改善案を書き込んだ。言語選択ラベルの表記変更の提案だけではあったが、海外の大臣が行政のサイトを修正するということに、未来を感じた人は少なくはなかった。

コロナのマスク対策において、タン氏を中心とした台湾のデジタル行政は先進的であった。各販売店のマスク在庫数をリアルタイムで把握できるアプリを開発。在庫データの更新頻度は「30秒」だ。

また、インターネットでの予約販売を実施。事前に本人登録を行い、コンビニなどで受け取るだけとシンプル。これで、国民に均等にマスクを配布することを可能にし、話題となった。

中学中退、トランスジェンダー、IQ180、アップルでデジタル顧問……


タン氏を説明するには、多くのキーワードがあがってくる。中学中退、トランスジェンダー、IQ180、アップルでデジタル顧問……。19歳の時に、シリコンバレーでソフトウェア会社を起業。

そこから、米アップルや台湾BenQの顧問を歴任するも、33歳のタイミングでビジネスの領域から引退。閣僚になったのは35歳だ。台湾で最年少、そして、トランスジェンダーでは世界初の閣僚となった。

いま、目指すのは開かれた台湾政府。そして、今後も社会問題に対して、独自の視点で解決法を見出していくことだろう。これからも日本の社会問題に関わってくれることを期待したい一人である。

文=上沼祐樹

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