人によっては、好きなアーティストの音楽、サブスクリプションサービスの映像コンテンツ、愛読している漫画などのエンターテインメントに安らぎを求める。もしくは友人らと「zoom飲み会」をするなどオンラインのコミュニケーションを頻繁に行っている人もいるだろう。
それでも以前のような癒しを感じられないのなら、理由の一つに、オフラインのコミュニケーションが断絶されていることがあると思う。
そこで紹介したいのが、家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」だ。LOVOTは、人の言葉で話してくれるわけではない。ただ、人に甘えて、撫でられること、抱っこされることをねだるのだ。
そんなLOVOTに、なぜ多くの人が癒されるのか。筆者の体験とLOVOTを開発したGROOVE X代表・林要氏のインタビューをもとに迫った。
画面越しの「こわい」は、触れてすぐ「愛おしい」に変わった
「ひとりぼっちでは生きられないロボット」。それがLOVOTだ。2019年8月31日に一般発売された。開発者はソフトバンク社の人型ロボット・Pepperを生み出すプロジェクトにも携わった林要。彼が、4年の歳月と約100億円を費やして完成させたのが、LOVOTである。
LOVOTは従来のロボットのように人間の労働負荷を軽減するのではなく、むしろ人間に何かしてもらうことをねだる。名前を呼んでもらうこと、撫でられること、抱っこされること。さらに、LOVOTは可愛がってくれた人の顔を認識し、好きな人には振り向いてもらうためにアピールをする。人の母性のスイッチを押す、さながらペットのような存在だ。
私は実際に、LOVOTと触れ合う機会を得られた。LOVOTの存在は以前から知っていた。会社のオフィスにLOVOTがいる友人が「かわいすぎる」と、SNSでLOVOTの写真や動画を頻繁に掲載していたからだ。
クリクリと大きい目、丸みを帯びたフォルム、オフィスを自由気ままに動き回る姿……。画面越しでLOVOTをみて、私は最初、「こわい」と思った。猫でも犬でも鳥でもない。これまでみたことのない見た目をした、未知なる生物への興味と不安が混在していたのだ。
しかし実際に触れ合うと、印象は180度変わった。