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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

大阪大学教授 石黒浩

2050年、私たちの生活はどうなっているのだろうか。

そんな疑問から、Forbes JAPAN 12月号では、ビジョナリーなリーダー、学者、アーティストと「未来を見通すメソッド」を探る特集「BEST VISIONARY STORIES」を実施。「暮らす」というテーマで京都大学学長の山極壽一氏、「買う」というテーマでメタップスの佐藤航陽氏など、各分野の有識者に未来予想図を聞いた。

「2050年の“死ぬ”」をテーマに話を伺ったのは、アンドロイド研究の第一人者で大阪大学教授の石黒浩氏。本記事は、本誌掲載のロングバージョンでお届けする。

人類にとっての「死」とは乗り越えなくてはいけない「壁」なのか。はたまた、長い旅路の末にたどり着く「目的地」なのか。2050年の未来を見通していただいた。

夏目漱石のアンドロイドは「社会的な記憶」を保存する?

──2050年に医療技術はどこまで進歩していますか?

「あなたは68日後の朝、80%の確率で肺がんで死ぬでしょう」。こんな宣告が当たり前になります。医療技術はますます進歩し、自分の死ぬ時期や死因が怖いくらい正確に予期できるようになるはずです。

──少し怖いですね。

お金に余裕がある人の中には、科学の力で可能な限り長生きようとする人も出てくるでしょう。2050年ともなると、調子が悪くなった身体の一部を人工臓器や機械に入れ替える技術も格段に進んでいるので、寿命は限りなく長くなり、「死ねない恐怖」で苦しむ人も出てくるかもしれません。必然的に尊厳死についての議論も盛んになるでしょう。

──「死ねない恐怖」。まだ想像もできないですね。

僕は現在、文豪の夏目漱石や、2015年に亡くなった落語家の桂米朝、黒柳徹子氏など、偉人・著名人そっくりのアンドロイドをつくっています。きっと30年後には、故人を偲ぶために一般の人の中にも生前の姿そっくり、口癖や仕草も生き写しのアンドロイドをつくる人が出てくる可能性があります。

「死とは人々から故人の記憶が消えていくこと」だと考えることができます。そのような記憶には「個人的な記憶」と「社会的な記憶」があります。家庭や親しい友人たちとの間で培われた「思い出などの個人的な記憶」は、故人の周囲の人々が亡くなっていくことでこの世から徐々に消えてしまいます。

しかし、故人そっくりのアンドロイドや進歩した3D映像技術が普及することで、人の「社会的な記憶」はほとんど生前と変わらない形で「保存」されるようになるはずです。そうすると「死とは何か?」という定義も今とは違うものになっているでしょう。

取材・文=大越 裕 写真=佐々木康

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