ビジネス

2020.04.27

サブスクが紡ぐ、偶発的な出会い。地方のパン屋にも適切な評価を

パンフォーユー代表取締役 矢野健太


地方の小さなパン屋が適切な評価を得られる未来へ


オフィス・パンスクを中心に展開してきたパンフォーユーは、2020年2月から一般消費者に向けてもサービスを提供していく。あんぱんや食パン、カレーパン、バゲットなど、毎月異なったパンを宅配していくとともに、それを製造するパン屋が持っているストーリーを提供。パンスクをきっかけにして、消費者と地方のパン屋をつないでいくという。

矢野氏「具体的な数値目標などもありますが、とにかく最初の1年間はユーザーの方々に喜んでもらうことに注力していきます。積極的に試食イベントなどを展開することによって、冷凍パンの美味しさを知ってもらいたい。

サービス開始当初は、いろいろなパン屋さんの製品をランダムに届ける予定ですが、次の段階では、ユーザーがパン屋さんを指定できるようにしていきたい。多品種高品質のパンを提供するだけでなく、顧客との間に生まれるコミュニケーションを大切にしたいんです。

パンフォーユーが目指すのは、地方のパン屋の価値を上げ、地域経済に貢献するとともに、新しいパン経済圏をつくること。僕らがどのような事業を展開するかによって、パン屋さんのパンの価値が決まります。その責任を感じながら事業を展開したいと思っています」

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パンスクで提供するパンセットのイメージ

また、オフィス・パンスクでも、同年2月3日にネスレ日本との協業を発表。おいしいパンとコーヒーをセットで訴求しながらユーザー企業を拡大していく方針だ。企業向け、個人向けと両方のサービスを展開していくことによって、日本にはこれまでなかった小麦の香りがあふれていくことだろう。矢野氏は、顔をほころばせながら次のように語る。

矢野氏「小麦がしっかりと香るおいしいパンを食べると、これまで食べていたものが食べられなくなってしまいます。事実、僕がそういう状態(笑)。ミネラルウォーターの普及で水道の水があまり飲まれなくなってしまったように、おいしいパンしか食べられなくなってしまうんです」

日本全国においしいパンが広がっていくとともに、地方の小さなパン屋が適切な評価を得られる未来。冷凍パンのサブスクリプションサービスによって日本の食と経済を変えるパンフォーユーの挑戦は、まだ始まったばかりだ──。

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執筆/ 萩原 雄太 編集/庄司智昭 撮影/須古恵

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