ビジネス

2020.04.14 18:30

2年の時を経て急浮上。友達とのおしゃべりアプリ「Houseparty」、急成長の要因


コンテンツ拡散できないデメリットは存在するものの、Meerkatチームは受け身でコンテンツを楽しむのではなく、少人数会話を重視したプラットフォームに仕様を変えました。これは全く毛色の違うユーザーコミュニティ構築を意味します。提供価値も変わってきます。

現在の社会は何週間も友人と直接会うことができない、大きな不安に突如として直面しています。実際、彼らは誰かとおしゃべりしたいニーズを急速に高めました。そこでHousepartyは「ソーシャル・ディスタンス問題」を解決するサービスとして真っ先に選ばれたのです。

蜂の巣の作り方:選択と集中


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Photo by Kat Jayne on Pexels.com

仕様を友人間の会話に統一させることで、他社サービスとは違った色を出すことに決定しました。それではどのようにしてプロダクトを成長させたのか。その答えは「Snapchat」の事例にあります。ここではSnapchatとTwitterの戦略を対比させて説明します。

Snapchatが重視したのが「ハイブ戦略(ミツバチの巣箱)」です。小さなグループが積み重なり、巨大コミュニティとなる考えを指します。ハイブの中は蜂の巣のように多層なコミュニティによって構築されています。小規模な友人間の繋がりを重視した考えです。

1つ1つのグループは完全に閉じており、Facebookのように友人と友人を繋げるような動線は確保されていない設計が前提となります。この点、ユーザーを大きく獲得するのではなく、確実に友人間ユーザーグループを囲い込み、リテンションを長くさせる「Must-to-have」のサービス価値を提供することが重要となります。

一方、インフルエンサー軸のTwitterはマスメディア戦略を採用。同社傘下であり、Housepartyの競合でもあるPeriscopeも同じ戦略です。この場合、インフルエンサーの発信する情報に飽きたら即座に離脱が発生してしまいます。日々発信される情報価値の高さが重要指標となります。

対して、ハイブ重視のSnapchatやHousepartyは友人・知り合いとのコミュニケーションが絶えるまで継続して利用されます。知り合いとのやり取りをするプラットフォームであるため、リテンションは比較的長く継続される傾向にあります。

「ながら世代2.0」の登場


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Photo by Helena Lopes on Pexels.com

複数ユーザーから成る友人グループを一挙に獲得しないとコミュニケーションサービスは成り立ちません。ここに難しさがあります。Housepartyの場合、もともとMeerkatで一定数のユーザー基盤を獲得していたことが功を奏し、ハイブ戦略で最も難しい最初のユーザー層獲得を乗り越えました。

ただ、それだけでは現在のように、若者向け社会インフラとして認識されつつある声も挙がりません。成長理由はなんでしょうか。1つ考えられるのが「ながら世代2.0」と考えます。

モバイル端末登場時の2010年手前、私たちは隙間時間に手軽にインターネット環境へ接続できる機会を得ました。たとえば電車の長い移動中、エレベーターに乗って何もしていない1、2分の時間ですら、さっとポケットからスマホを取り出してネットに接続する体験が一般化しました。俗に言う、「隙間時間」の活用です。同時に、TVを観ながら、会議に出席しながら情報やメッセージのやり取りをする「ながら世代1.0」の登場です。
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