在宅生活を充実させるサービスの躍進が止まりません。なかでも目まぐるしい成長を遂げているサービスにグループ動画アプリ「Houseparty」が挙げられます。
Housepartyは、友達最大8名とライブ動画配信感覚でおしゃべりできるアプリ。ZoomやGoogle Hangouts Meetのような急成長中のビデオ会議サービスに代わる、よりカジュアルな会話ツールの選択肢と考えられています。
今年2月の週間ダウンロード数は13万でしたが、3月15日週には200万ほどにまで数字を伸ばしているとのことです。イギリス、スペイン、イタリアを含む17カ国のApp Storeで1位にランクされています。
「Digiday」によれば、現在の社会情勢になる前、2017年初頭にDAU250万人、その年の2月のMAU1030万人だったとのことです。2019年1月時点でこちらの数字が過去一番のピークだったとのことなので、長くブランクがあったことが予想されます。ただ、現在は一時的にそれ以上のDAU・MAUに到達していることでしょう。
さて、Housepartyは2015年にリリースされたライブ動画配信アプリ「Meerkat」の開発企業が立ち上げたサービスです。同アプリは競合「Periscope」と激しい競争を繰り広げましたが、Twitter連携を外されたことを発端に失速してしまいました。失敗をもとに2017年に立ち上がったのがHousepartyです。
2018年、Facebookによる買収が囁かれたこともありましたが、当時、Cambridge Analyticaのユーザーデータ流用懸念の問題にさらされ、この件は流れたと聞きます。最終的には2019年6月、大人気ゲーム「Fortnite」を開発するEpic Gamesによって買収されました。
紆余曲折を経たHousepartyですが、ここにきて成長を遂げている理由はなんでしょうか。たしかに、世界的に在宅生活を強いられたことで発生した、オンライン人口の増加に起因しているとも言えますが、それだけではないと考えます。4つほど理由を探ります。
会話重視の開発戦略
Image Credit:Houseparty
Housepartyの前身であるMeerkatはライブ動画配信アプリです。ツイキャスのように「配信主 vs 視聴者」のユーザー関係が作り上げられていました。言い換えれば「1 vs 多数」の構図です。競合のPeriscopeやFacebook Liveも同様の仕様。
そんな中、Meerkatのチームは、リアルタイムに知り合いユーザー同士が集まり、交流が始まることにチャンスがあることを発見。友人同士が対等に繋がれる「1 vs 1」「1 vs 少数」の配信プラットフォームのアイデアに行き着きます。
友人間の少人数配信プラットフォームの最大の弱点はコンテンツを外部発信できない点にあります。友人同士が会話をする場所であるため、配信コンテンツを外部活用することができない非パブリックな場です。そのため、友人同士が繋がれるFacebookですら、ビジネスモデル確立のために「配信主 vs 視聴者(なかでもゲーム視聴)」に基づく配信プラットフォームをサービス仕様の軸にしています。