ライフスタイル

2020.04.19 18:00

サステナブルとは大切な人を思うこと。スペイン発ファッションから考える消費のあり方


──私たちが日常的にできるサステナブルな取り組みを教えて下さい。

岡:ファッションだけでなく食の分野でも、食べていないのに破棄されているものが多いのですよね。ですが結局、消費者側ができることも限られていて、作り手や仕組みによるものでもあると思っています。だから私たちはなるべくゴミを出さない買い物の仕方を考えるとか、自分に本当に必要な分を知って管理するとか、小さくとも、今できることに意識を向けるべきだと思います。

社会や自分の大切な家族のことを思うと、目の前の完成したプロダクツだけなく、誰が作ってどういう風にここまで来ているかを考えて、どんなものをどのように選択すべきか賢い選択ができるようになると思います。

下川:服も同じで自分が持っている服を管理することは大事で、ECOALFはいっぱい買ってもらうことが主な狙いではありません。1着の服は平均7回しか着られていないと言われています。どれくらい着られるのか、どういう風に着まわしができるのか、と持ってる服に興味を持つようになると無駄を減らしていくことができると思う。7回を10回、20回に、と着るようになれば環境への影響も大きいと思います。

三陽商会
三陽商会エコアルフ企画課長の下川雅敏氏

──ECOALFの製品は長持ちする工夫がされているのですか。

下川:一番大事にしていることは、タイムレスなデザインです。シンプルということではなく着まわしができ、トレンドに左右されず長く着られることが重要です。

また、クオリティを保つために生産背景やトレーサビリティ(生産・流通過程の追跡可能性)を明確にしています。ECOALFでは、生地や品質だけではなく製造工程もサステナブルであることを重視しています。そういった背景を理解してもらえば、長く着てもらえるんじゃないかなと思いますね。

ECOALF
ECOALF 渋谷店にはペットボトルタワーのインスタレーションが。かさばったペットボトルの形状から繊維にまで加工する技術の高さに驚く。

砥川:最近、私は娘と一緒に使わない物をメルカリに出品しています。メルカリはユーズドの物を安く手に入れるサービスだと思われがちですが、実はサステナブルマーケットなんですよね。新しい資源を使わないですから。そういう視点をもつだけでも行動は変わって行くと思います。

下川:それこそキッズ服って、1、2年で着られなくなっちゃうじゃないですか。でも本当に品質の良い服で、他の人にも譲ってあげたいという気持ちをもって大切に着れば次の方々に渡っていく。ECOALFでは服育も進めていきたいと思っています。

岡:消費者にまずできることは「どこから買うか」とお金を使うことについて考えることだと思います。例えば、食であれば生産者から直接買うことによって作り手を応援することにも繋がります。

まずは誰を応援したいか、どこにお金を使いたいか、と消費の意味を考えることが第一歩かなと思います。


下川雅敏◎三陽商会 事業本部 エコアルフビジネス部 企画課長。2006年入社。バーバリーブランドでのエリアマネージャー・トレーナーを経て、ニューヨーク支社にて海外事業を経験。その後、セレクトショップ事業とマッキントッシュブランドの企画MDに携わり、昨年9月のエコアルフ・ジャパン設立からブランドローンチのため現職に就任。

岡 清華◎MOTHER代表。管理栄養士国家資格取得後、食だけでなく身体と心のホリスティックな健康、そして人生の豊かさとは何かを求めて、世界最古の医学“アーユルヴェーダ”を学び、環境問題を含む全ての命の調和の為に様々な活動に取り組む。インスタグラムは@okasaya

砥川直大◎The Breakthrough Company GO クリエイティブ・ディレクター。戦略を含めたコミュニケーション全般の設計から、表現までの全てを手がける。近年は企業のブランディングや新規事業開発にも従事。Readyforソーシャルプロデューサー。調理師。

文=河村優 写真=平山尚人

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