岡:みんな何かをやりたいと思ってるけどやり方が分からなかったりするんですよね。
砥川:「環境にいい事をしてます」って言っても面白くならないし、広がりにくい。今回の取り組みは協力して頂いた企業もそういう意識を持っていることを社会に知ってもらう機会になったと思います。広告にはECOALFのプロダクトは一切載せてないですが、思想が伝わってお店に行ってみたいという声がたくさんあったので、そういった動きを生み出せた事が印象的でした。
下川:僕は「売れば売るほど地球が綺麗になる」というメッセージをすごく気に入っています。ファッションと環境問題の関係性がイメージできない場合って多いと思うんですね。でも「売ると綺麗になる」って聞くと、どういうことだろうとすごく考えると思う。
ただ「環境に優しいモノ」を作っていてもビジネスにならないとブランドの意味ってないと思うんです。もし、エコアルフがUPCYCLING THE OCEANSの活動をしていなかったら、服を作ること、売ること、在庫を抱えること自体が、環境にとって悪かもしれない。けれど、ブランド自ら行うアクションがあるから堂々とメッセージを発信できる。
「BECAUSE THERE IS NO PLANET B」のキャッチコピーは創業者のハビエルが考案。Becauseコレクションやメッセージアイテムなどは販売価格の10%が海を綺麗にする活動資金として寄付される。
本国のスペインでは、「売ると綺麗になる」といったメッセージをそこまで強くは押し出していません。ヨーロッパではそういった認識がもう既にあるからです。ただ日本上陸発表のタイミングでこのメッセージを伝えることはすごく大事で、ブランドだけでなく、ファッションのあり方に興味を持ってくれる人が増えるといいなと思います。
──遠くで起こっていることは自分事として捉えにくいですが、自分にも返ってくると思うと意識が変わりますよね。
岡:本当にそうですね。人間って小宇宙とも言われていて、地球で起こっていることは人間の体の中でも起こっていると考えられるんです。そう意識して目には見えないところまで考え始めると、自然と自分の住んでいる所や地球について意識が向いていくのではないかと思います。
MOTHER代表の岡清華氏
砥川:私は6歳と3歳の娘がいますが、彼女たちに良い未来を残せるか、と考えます。よく大人は子ども達に良い将来を与えたいと考えて教育に投資しますが、同じように地球や環境が維持されるってことにも気を向けないといけない。将来、温暖化でそもそも生活できなくなったら元も子もないですよね。
自分のためだけを考えるとどうしても甘くなってしまうので、子ども達のためでもあると考えると、自分の消費行動もより能動的になるのではないかと思いますね。
──全然起こりえない未来じゃないですもんね。
砥川:もう1、2度気温が上昇すれば、保険会社が自然災害の保障に対応できなくなると言われています。日本では東日本大震災時の保険被害額よりも、最近の洪水や異常気象による災害の被害額の方が上回っていて、今の一番のリスクは自然災害なんです。