新型コロナウイルス後の世界を予想する(1):逆都市化

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現在生きている人たちにとって、新型コロナウイルス(COVID-19)は、いまだかつてない経験です。たしかに、私たちはSARS、MERS、エボラ、ジカ、HIVなど、他にも感染症の流行を見てきました。しかし、それらの感染症は、主に特定の集団や地域において限定的に発生しました。

新型コロナウイルスは違います。たった数カ月のうちに、コロナウイルスの脅威は世界中の全ての人たちに対して社会的、政治的および経済的に甚大な影響を及ぼしました。新型コロナウイルスと、世界全体に影響するような他の課題との違いは、もたらされる変化のスケールとスピードにあります。

グレタ・トゥーンベリのような環境活動家が気候変動について発言すれば、彼女の感動的なスピーチはソーシャルメディアで拡散されて、人々は彼女を称賛します。しかし、気候変動の影響は徐々にしか感じられないため、彼女の言葉はどうしても忘れられがちで、つい普段通りに毎日を過ごしてしまいます。一方で、都市がまるごと閉鎖され、国境が閉ざされ、何百万もの人たちが職を失い、知っている人がわずか数カ月のうちにたくさん亡くなってしまうような状況は、人々の心に大きな打撃を与えます。

かつて、ロシアの革命家のウラジーミル・イリイチ・レーニンはこう言いました。「何十年もなにも起こらないことがあるが、数週間のうちに数十年分が起きることもある」。未来に投資する投資家としての私の仕事は、どのように社会が進化するのか、そして有意義な変化をもたらせるような起業機会がどこにあるのかをつきとめることです。最終的には、未来をどのように作っていくかは勇気ある創業者たちの行動次第です。私たちは大きな「波」がどこにあるのかを探しますが、実際に波に乗るのはサーファーである創業者たち自身です。

以上を踏まえた上で、日々状況が変化するパンデミックの最中ではありますが、新型コロナウイルス後の世界、つまり「ポスト・コロナ時代」に来る可能性のある波について考察するシリーズを、これから数週間にわたって(リモートワークで)書きたいと思います。

今週は、ポスト・コロナ時代の逆都市化について考察します。
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