検査が少ない日本の貴重なデータ、LINE調査で分かったこと

LINEのコーポレートページより(上)。厚生労働省が実施する「全国調査」では、プッシュ通知で一斉に発熱の有無や職業などをアンケート。発熱がある人は、都道府県による「パーソナルサポート」で、適時必要な最新のアドバイスが届く。ユーザーに「友達」登録してもらい、長くフォローアップする。


──発熱者の属性からどのようなことが分かったのでしょうか。

いろいろなデータが出ていますが、中でも下の図のような職業・職種別のグループ分けの結果が綺麗に出ました。




第1回「新型コロナ対策のための全国調査」の結果(厚労省)
 
グループ別の発熱者の割合における都道府県ごとの分布がその下の図です。

その県の発熱者が一番多い(リスクが高い)順と、それぞれの職業ごとの発熱割合を追ってみると、グループ間で大きな違いが見られます。まず大事なのはグループ5(右下の図)の3密や社会的距離を取ることができるグループです。専業主婦などです。家にいることができる人たちは、地域全体の発熱リスクが上がっていっても、横ばいのまま。

つまり、特に緊急事態宣言下にあるような状況では、「不要不急の外出を避けること」、「家にいること」が、感染リスクを下げ、社会を守ることに重要であることがデータからも示されました。テレワークを導入できた人達も今後このグループに入るでしょう。

一方で、他の職種と比べて人と接触する頻度が高いグループ1(左上)「長時間の接客を伴う対人サービス業や、外回りの営業職」は高い割合でリスクが上昇しています。

東京の感染者の多い地域に絞って検討すると、こうした職種の人々の発熱割合は全国平均の5倍近くなっています。より高いリスクに晒されている職種をリスクから守り、社会全体に感染を広げないようにする対策を行わなければ、感染爆発を抑えることは難しいといえます。

さらに、グーグルのスマホのログを使った人流データを見ると、飲食店を含む娯楽施設、生活必需品の薬局・スーパー、公園、公共交通機関、自宅、職場などの場エリア別の活動量がわかります。

3月の日本はどうかというと交通量は減っていますが、飲食を含む娯楽施設への外出はあまり減っていません。休日の活動量は全体的に下がっているのですが、平日の活動はそれほど減少していなかった。特に娯楽施設の利用は、木金にかけて上がっている。多くの企業関係者に状況を聞くと、3月の時点では、仕事の会食にそれほど制限はかかっていませんでした。

こうした穴が空いた状態での対策とならないように、日々データで実態を把握する必要があります。現在では、yahooやドコモのデータを活用しながら、日々の活動実態の把握が行われています。データを多角的に組み合わせて、対策の実施状況と効果を確認し続けることが重要です。

──緊急事態宣言は5月6日までですが、その後はどうなるのでしょうか。ロックダウンは経済へのダメージが深刻です。

ワクチンができるのは早くて1年から1年半後と考えられています。恐ろしいのは、日本がオーバーシュートして医療崩壊となっても、それで終わりではないということです。その後も何度も第3波、第4波が到来し、医療と経済が打撃を受けつづけることです。
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構成=成相通子

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