厚労省によると、乗員乗客3711人の約20%に当たる712人が感染し、11人が亡くなった(4月3日現在)。感染者のうち、半数近くの331人が無症状だったという。
開院前だった藤田医科大学岡崎医療センターでは、厚労省の要請で、陽性反応が出るも症状のない乗客乗員とその同行者である濃厚接触者、計128人を受け入れた。ここでは、二次感染者を出すことはなく、すでに対応を終えている。そして4月7日に、6日遅れで開院した。
4月7日に開院した藤田医科大学岡崎医療センター。クルーズ船の乗客乗員受け入れ時には二次感染者はゼロだった
要請から3日で受け入れ、感染防止対策のポイント
未曾有の事態に、岡崎医療センターはどのように対応したのだろうか。
まず、2月16日に厚労省からの要請を受けて、翌日に内外の関係者との協議の上で受け入れを決定。急ピッチで準備をして19日から受け入れを開始した。対策本部は、センターを運営する藤田学園職員のほか、厚労省や岡崎市保健所職員、市消防本部など最大50~70人で対応したという。
感染拡大防止のため、藤田医科大学の感染専門医師を含めた感染対策チームを組成し、医療センター内の「ゾーニング」を徹底した。
感染症対策の一部として、公表されている情報をいくつかご紹介しよう。岡崎医療センターの受け入れ時と同様、無症状や軽症者がホテルや自宅での待機になった場合、応用できることがあるだろう。
1. 滞在者の区画に入る者は適切な手順で防護する
・マスク着用の際は、息が漏れないことを確認
・マスク本体には触れずに外す
・手指の衛生を徹底する
職員や医療従事者の衛生管理を徹底した
2. ゾーニングを確実に行い、その場所をクロスしない
・居住フロアを限定し、厳重なセキュリティで管理し、滞在者は各階から退出しない
・使用するエレベーターを限定する
・入り口からの導線などは的確にサインを貼り、不潔エリアを明確にする
不潔エリアと明示されたエレベーター
3. 衛生管理及び手順の教育を行った者のみが管理区域に入る
・管理区域入室者の入室管理の徹底
滞在者が居住するフロアに向かう看護師
滞在者には、入所時に本人識別のリストバンドを掛けて、メディカルチェック(体温、動脈血酸素飽和度、体調など)を含めて、一人ひとりの管理を徹底したという。
厳重な感染防止対策の一方で、滞在者がストレスを溜め込まないように、居住フロア内はフリーにしてウォーキングや体操、滞在者同士が会話できるようにした。細かな配慮や周辺からの温かい応援もあったようだ。