2月4日の「ダイヤモンド・プリンセス」船内の夕食会場。この時はまだ人で混み合っていたという。 (@daxa_tw)
発覚から対応まで数日間の「タイムラグ」
最初の感染者が発覚したのは、2月1日。この船は1月20日に横浜港を出発しており、香港、ベトナム、台湾などを経由し、2月3日から横浜港に停泊している。横浜から途中寄港地の香港で下船した80歳男性が、新型コロナウィルスであると、香港の公衆衛生当局からの通知を受けて今回の措置に至った。
だが、乗客に新型コロナウィルスの感染者がいたことが知らされたのは2月3日。乗客からは「分かった時点で知らせてほしかった」と嘆く声もあがっている。今では、乗客は客室内に留まることを求められ、食事も各部屋に届けられるようになったが、この数日間の 「タイムラグ」 はなぜ発生したのだろうか。
今回の新型コロナウィルスを巡っては、WHOがデマや誤った情報が急速に拡散される状況「インフォデミック」であると指摘するように、正しい知識を持たなければパニックに陥ってしまう。
64人に陽性反応。検疫は続く
船内では、2月8日に新たに3人の感染が判明し、乗客・乗員3712人中、計64人に新型コロナウィルス検査で陽性反応があったという。厚生労働省は原則14日間の検疫期間を設け、乗客らに船内の客室などで待機することを求めており、下船は19日以降になるとみられる。
発熱などの症状がある人や、その同行者など濃厚接触した人など対象にしていた279人分の検体採取は終わったが、厚労省は引き続き検疫を続ける。感染者の国籍の内訳は日本28人のほか、中国、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、イギリス、アルゼンチン、台湾、フィリピンなど。中でも、70~80代の高齢者の感染が目立つ。
いまも船内には高齢の乗客も多く残されており、下船できない状況に家族からも不安の声が上がっている。誰もが予測できなかったこの事態に、どのように対応すれば良いのだろうか。東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授(公衆衛生学)に話を聞いた。