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2020.04.06 11:00

小売業界の革命児、「b8ta」が日本に上陸する理由

b8ta Japanカントリーマネージャーの北川卓司

b8ta Japanカントリーマネージャーの北川卓司

世界中のイノベーティブな商品を発見、体験、購入できる──そんな言葉をウリに、年間で300万人の新しいモノ好きたちが集まる場所がある。それが「b8ta(ベータ)」だ。

コロナウイルスの影響が出る以前から、業績不振で閉店が相次ぐなど、アメリカの小売業界は悲観的なニュースが多い中、b8taは2015年にサンフランシスコで創業以来、拡大の一途を辿っている。サンフランシスコ近郊のパロアルトに旗艦店をオープン以降、2020年1月時点で米国内23店舗、ドバイに1店舗を構える。

オープンから5年で1000以上のブランドがb8taに出品。現在までに、b8taに出品したブランドは5000万以上の消費者と商品の関わり(エンゲージメント)を得ているという。


2015年にパロアルトにオープンしたb8taの旗艦店。現在は移転リニューアルしており、3倍の面積の大型店となっている。

b8taがブランド、消費者の両者から支持を集めている理由が、同社の画期的なビジネスモデルだ。従来の伝統的な小売業とは異なり、b8taは店舗内の区画(約1区画:60cm×40cm)をさまざまなブランドに定額で提供する、実店舗のサブスクリプションモデルを実現。同社のビジネスモデルはRaaS(サービスとしての小売)とも言われている。

例えば、ブランドは月額の出品料を支払えば、店舗運営に必要な従業員の手配、トレーニングやシフト管理、在庫管理、物流サポート、POS(販売時点情報管理)はすべて付帯サービスとしてb8ta側から提供される。販売数量に応じたマージンもかからない。

また、来店者の性別と年齢、店内でどのような体験をしたかを2種類のカメラを通じて収集し、ソフトウェアで行動分析も可能となっており、製品改良やテストマーケティングにも生かせる。ブランドにとって、b8taは「テストができる小売店」という位置付けだ。

一方、消費者はさまざまなブランドの最新製品を発見したり、体験したり、さらには購入することもできる。新しいモノ好きには、たまらない場所というわけだ。

今夏、日本に2店舗出店の予定


アメリカで人気を博しているb8taが日本にもやってくる──2020年1月にb8taはベンチャーキャピタルのEvolution Venturesと合弁でb8ta Japanを設立。今夏、新宿マルイ 本館、三菱地所が一部保有する有楽町電気ビルへ2店舗出店する予定だという。

b8ta Japanには、丸井グループや三菱地所、カインズ がEvolution Venturesを通じて出資しているほか、凸版印刷も米国b8taを通じて出資。総額11億円の投資を通じて、日本での新たな小売体験の創出を推し進めていく。

4月1日にはスタートアップ企業やD2C ブランドを支援する、「b8ta スタートアップ・D2C サポートプログラム」の提供を決定。日本のb8ta店舗への出品にかかる費用(通常・月額30万円前後)の一部を、1社あたり月額22万円を上限に最大2カ月間、補助するという。

なぜ、b8taは今夏の日本進出を決めたのか。日本においてどのような役割を担っていくのか。b8ta Japanカントリーマネージャーの北川卓司に話を聞いた。
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文=新國翔大 人物写真=小田駿一

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