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Photo by Taylor Hill/WireImage

感染が拡大する新型コロナウイルスの影響により、米国ではすでに何千もの店舗が閉鎖に追い込まれている。買い物客は裁量支出を減らし、国中の小売業者が突然、すべての収入を失うとはどういうことかを経験している。

自らの名を冠したブランドを立ち上げ、4000人以上を雇用し、ファッション界で大きな力を持つトリー・バーチは先ごろ、インタビューで「私たちの誰もが、ビジネス活動の停止を経験している」と語った。

「一部にはまったく売り上げがない。一部は何とかやりくりしている状態だ」

先行きの見通しが立たない小売業界は、財政状況を改善し、数百万人の雇用を守るために、米政府の緊急支援を求めている。業界団体や小売業者の幹部数十人の支援を得て協調的な取り組みを主導するバーチは、「私たちには今、助けが必要だ。さもなければ、業界全体が破綻する可能性がある」と訴える。

小売は米経済を構成する主要な産業だ。だが、相次ぐ店舗の閉鎖によって各社が人件費や家賃といった固定費を支払えなくなれば、業界全体が機能不全に陥りかねない。バーチによれば、小売業者の多くが従業員の50~80%の解雇を検討中、または破産を申請する可能性が出てきているという。

小売業界は政府に対して今、従業員の雇用を継続するための補助金、家主への支援を通じた家賃支払いの猶予、向こう12カ月間の税の軽減という3つの支援策を求めている。

店舗を一時閉店した米国の小売業者のうち、大手の多くは3月末または4月上旬までに営業を再開する計画を発表している。だが、ニューヨーク州やカリフォルニア州、その他のいくつかの州で生活必需品を扱う店舗以外の無期限の閉鎖が命じられるなか、その実現の可能性はますます低くなっている。

業界全体と協力


バーチはアメリカン・アパレル・フットウェア協会(AAFA)、アメリカファッション協議会、全米小売業協会などの業界団体とともに、政府に訴えかけている。夫で元LVMHファッショングループの会長兼最高経営責任者(CEO)のピエール・イヴ・ルセルと同業者に電話にかけ、協力を呼び掛け始めたのは、3月19日。

電話をかけ始めてから2時間もたたないうちに、ギャップやリーバイストラウス、ラルフローレン、マイケルコースの親会社であるカプリ、コーチやケイトスペード、スチュアート・ワイツマンの親会社タペストリーなど20社の幹部と連絡を取ることができたという。

バーチはまた、ホワイトハウスや議員たちに直接、支援を求めてもいる。20日にはスティーブン・ムニューシン米財務長官と面会、ケビン・マッカーシー下院院内総務とは“常に”連絡を取っている。24日にはニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事に書簡を送った。

ヴォーグ誌の編集長アナ・ウィンターをはじめ大きな影響力を持つ人たちを通じて、ナンシー・ペロシ下院議長やチャック・シューマー上院院内総務などにも要望を伝えた。

自らを“プロのインサーター(書類を折って封筒に入れ、封をする機械)”と呼び始めたバーチは、メールに祈りを意味する絵文字を使うことをためらわない。いつ自身の店の営業を再開できるのかは分らない。ただ、「とにかく行動に出た」のだという。

編集=木内涼子

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