テクノロジー

2020.04.06 07:30

5G時代に突入。「1試合=1億円」スポーツ放映権の歴史を振り返る

サムネイルデザイン=高田尚弥


巨人、もしくは球界として、この視聴率低下の原因について結論づけはしていない。しかし、それがインターネット・メディアの台頭である点は明白だ。
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テレビの前に陣取らずとも、ネットによるテキストによる速報、一球速報、3G携帯電話の登場によるワンセグ、そしてその後のスマートフォンの登場と、テレビの前にいる必要はなくなり、職場で途中経過をチェックすることも可能になった。毎日行われる試合であるなら、これで十分。

地上波放送では、試合終了まで中継することも極めて稀だった。そうであるなら、最初から試合終了までネットで確認できるほうが、ストレスがない。

「1試合オンエア、サーバー費だけで200万円」の時代


今の若い世代には想像もできないだろう。2000年代の初め、マイクロソフトMSN事業部と「Jリーグ映像」(Jリーグ・デジタル・マーケティングなどの前身)との間で、「実験的にJリーグを1試合、LIVEストリーミングしてみよう」との企画が持ち上がった。しかし、そこで大きな問題に直面した。1試合まるまるIPでオンエアすると、サーバー費だけで200万円と見積もられた。
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もちろん、毎試合毎試合、このコストがかさむようでは実用的ではない。この試みは1試合の実証実験のみで終了。しかし、こうしたコストによる足かせは、クラウド・ソリューションの登場とともに動画サーバーなどという概念も消えゆき、ネットワーク使用料も意識せずに済むほど廉価になった。

こうしたスポーツの視聴形態の変革は、現在のOTT視聴へとつながる。スポーツ界のみならず、時間どおりにテレビの前に、自宅に閉じこもらずとも、Netfilix、Amazonプロムビデオなど視聴形態の変革はごく自然だ。今後のテレビのあり方については深く考察する必要がある。

さて、ドル箱・巨人戦の雲散のように、5Gの到来による放映権ダム崩壊について、スポーツ業界は手をこまねいているしかないのか。

スポーツ放映権のダム崩壊は、権利元、放送局そしてそれを取り持つ広告代理店にとって大きな痛手となりえる。

東京五輪招致に成功した2013年、当時まだひとつの組織だった電通スポーツ局の売上はおよそ1000億円。そのうち放映権を担当する放送事業部の売上は3割近くを占める稼ぎ頭だった。これを崩壊させるとなると、世界的なスポーツ・ビジネスモデルの根幹が揺らぎかねない。

広告代理店や通信会社で働いてきた経験から、このダム崩壊回避策を、なんとかひねり出したいと考える。さて、いったいどんな方策があるだろうか。

連載:5G×メディア×スポーツの未来
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文=松永裕司

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