5G時代に突入。「1試合=1億円」スポーツ放映権の歴史を振り返る

サムネイルデザイン=高田尚弥

いよいよ、日本にも「5G元年」がやって来た。

アメリカやヨーロッパでは日本に先駆け昨年から段階的に導入されている5Gはこの春、NTTドコモ、au、ソフトバンクの3社がサービスを開始した。新規参入の楽天は追って6月のサービスインを予定。5Gスマホがユーザーの手元に行き渡るには数年かかるだろう。

さらにドコモがターゲットとしていた東京五輪は延期され、そのホールディングスのNTTとトヨタの連携が発表されるなど世界の流れは予断を許さない。

一般ユーザーによるコンテンツ「UGC」が定着


それでも本格的に5G時代がやって来た点に変わりはない。

5G到来により各産業に変革がもたらされ、中でも生命や安全性の面で比較的ハードルの低い、スポーツ、エンターテインメント、観光とした業界において具現化が始まる。これによりスポーツ界では、その放映権が「ダムの崩壊」を引き起こすのではないかと、その危険性には触れた通りだ

5Gスマホを持つ観客が何万人とスタジアムに集い、そこで行われている試合の模様を動画で撮影。それと同時にSNSで配信。これは試合を中継するテレビ放映と競合する構図になる。

日本では、スタジアム内の動画撮影禁止を訴えるアナウンスや目を光らせる会場係員により、撮影を遠慮する傾向も続くかもしれない。しかし、著作権に抵触しないようYouTubeが動画を削除していた時代は、いつの間にか過ぎ去り、コンテンツ・ホルダーが公式ページをあえてYouTubeに開設する時代となった。同じような潮流が、5Gによる動画配信にもやって来るだろう。

YouTubeだけではない。インスタやTwitter LIVE、TikTok、17 Liveといった「ユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツ(プロのクリエイターではなく、一般のユーザーが作り出すコンテンツ:UGC)」は、すでに定着している。4Gの世界では何万人も同じ会場でアップロードすることは不可能だったものが、5Gは大量アップロードのトリガーになるだろう。スマホからの短尺LIVEのみならず、長尺LIVE配信も技術的障壁は取り払われてしまうのだ。

今後の展望を予測するためにも、まずは映像視聴の歴史を振り返りたい。
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文=松永裕司

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