数値が異常でも病気とは限らない? 検査結果を読み解くトリセツ

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Case 2


腫瘍マーカーの数値が基準を超えていた。私はがんなのだろうか。

Bさん(58歳)は、人間ドックのオプションでがんの腫瘍マーカーを調べました。特に心配だったわけではなく軽い気持ちで受けたのですが、届いた報告書を見てみると、なんと基準値を超えて5ng/ml!

私はがんなのか……と一瞬パニックになり、その日から食欲も落ちてしまいました。総合病院の予約をとりましたが、混んでいて診察は半月先。四六時中、がんの心配がつきまとい、平穏だった日常生活が一変してしまったBさん。この数値をどう受け止めたらいいのか混乱しています。

検査結果のケーススタディー 患者の心得:がんではない可能性のほうが高い。その程度の検査である

1000人の日本人を無作為に集めて腫瘍マーカーの検査をしたとき、数値が8ng/mlの人は、がんである確率よりそうでない確率のほうがずっと高いのです。

腫瘍マーカー値が少し高いだけで徹底的に調べようとすると、超音波検査、内視鏡検査、CT検査などを重ねた挙句、「明らかながんはありませんでした」と告げられることも多々あります。それに伴う身体的負担は決して小さくなく、その後もがんのことが頭から離れない心理的負担も無視できません。早期発見の目的で調べる腫瘍マーカー値には、「知ってしまうデメリット」もあると認識しておきましょう。

Case 3


コレステロールの値が上昇

2か月前に悪玉コレステロールの数値が144mg/dlとなり、主治医に注意を受けたCさん(55歳)。生活習慣を見直したのに、昨日の検査では逆に147mg/dlに上がっていました。すっかり落ち込んでいます。

検査結果のケーススタディー 患者の心得:小さな変動に一喜一憂せず長い目で

血液検査の数値は体重と同じで、その日の体調などに多少なりとも左右されます。小さな振り幅の変動にとらわれて一喜一憂するのではなく、長いスパンで見て「だんだんよくなっている」とか「相変わらずだ」などと捉えるのがよいでしょう。

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