世界に名を馳せる起業家、ジャシュは、一体どうやって新しいビジネスアイデアを生み出しているのか、起業家として何を大切にしているのか。彼の起業家としての側面に迫った。
ジャシュは、1996年にOmnitureを起業し、10年後の2006年、NASDAQ(ナスダック)に、当時史上最年少経営者として32歳で上場させ、同社を3年後、アドビに売却した。
2010年に現在CEOを務めるドーモを起業し、2018年に上場させた。なぜドーモを立ち上げたのか。
「OmnitureのCEOだった当時、もっとデータが欲しいとずっと考えていました。そのために、さまざまな人材を採用したり、ソフトウエアを導入しましたが、解決できなかった。アドビに売却した時、それならばこの課題を自ら解決しようと、ドーモを起業したのです」
同社は、BI(ビジネスインテリジェンス)製品を提供する会社と思われがちだが、ビジネス上のあらゆるデータを分析し、視覚化するプラットフォームを提供している。シスコやロレアル、日本ではパナソニックやローソンなど錚々たる企業が同社のプラットフォームを導入している。
ドーモは、Omnitureでの経験から起業したが、こうしたビジネスアイデアはどうやって生まれるのか。「大きなマーケットがあるにもかかわらず、解決できていない、不満がある、まだ誰も変革を起こしていない問題には、テクノロジーが必要になる場合が多い」という。
その一例として、Uber(ウーバー)を挙げた。「雨が降っているとき、サンフランシスコの通りでタクシーを待っていました。しかし、満車のタクシーばかりが通り過ぎ、なかなか乗車することができなかった。手元のスマートフォンを利用し、なんとかこの非効率な問題を解決できないかと思ったのです。帰宅し、早速、ビジネスアイデアを書き出し、後日友人に話しました。すると、友人から『ウーバーという同じアイデアのサービスがあるよ』と教えられたのです」。こうしてウーバーのアイデアに共感したジャシュは、初期の投資家のひとりとなった。