オーストラリア森林火災で「種の絶滅」は必至、生物学者が指摘

Brook Mitchell/Getty Images

オーストラリアの山火事は壊滅的な被害をもたらし、依然として衰える気配を見せていない。貴重な野生動物が数多く生息する、現地の生態系に深刻なダメージが及んでいる。

火事でこれまで、推定10億以上の動物が命を失ったとされる。これは想像を絶する数字ではあるが、トータルの被害はさらに拡大する見通しだ。

「5億から10億の動物が犠牲になったとの議論もあるが、哺乳類や爬虫類、両生類及び鳥類に無脊椎動物を加えた場合、死亡した個体数の合計が兆単位に達する恐れもある」と、イーストアングリア大学の生物学教授でBBCの番組司会者としても有名なベン・ギャロッドは述べた。

「オーストラリア大陸はきわめて独特な生態系を誇り、この地域の維管束植物(シダ植物や種子植物)の85%と、哺乳動物の80%は、他の大陸では見られないものだ」と彼は続けた。

10億以上の動物が犠牲になったとするデータは、世界自然保護基金が発表した数値を元に、シドニー大学教授のクリス・ディックマンが試算したものだ。しかし、ディックマンの試算に無脊椎動物は含まれていないという。

今回の火災は既に1800万エーカーを焼き尽くしたが、ギャロッドはその影響が数カ月から数年の間、残り続けると予測する。火災から逃げた動物も棲みかを失い、食べ物の入手に苦しむことが予想される。結果として、いくつかの種が絶滅してしまうことが確実だとギャロッドは考えている。

「今のレベルの地球温暖化で、これほどの被害が起こるのであれば、仮に地球の平均気温が摂氏2度から3度上昇した場合、一体どのような事態になるだろう。今こそ人類は一致団結して行動を起こすべきだ」と彼は続けた。

編集=上田裕資

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