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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介

内田高史 東京ガス 代表取締役社長 

Forbes JAPANは、イノベーティブな企業こそ未来をつくる“GREAT COMPANY”だと考え、「日本で最もイノベーティブな企業」をまったく新しい手法で選出した。オープンイノベーションランキングで1位に輝いたのは、東京ガス。年々高まる脱炭素化という社会的要請に、真正面から向き合う方針を掲げた同社。エネルギー会社として初めてぶち上げた「CO2ネット・ゼロ」の実現策とは。


2019年11月、東京ガスが発表した長期経営ビジョンにエネルギー業界がざわついた。同社が30年以降に「CO2ネット・ゼロ」を目指す方針を打ち出したからだ。

脱炭素化への圧力は、年々強まっている。温暖化対策の新しいルールであるパリ協定では、平均気温上昇の目標を従来の2℃から1.5℃に引き下げるという課題の設定もなされている。ESG投資の文脈からも、脱炭素化に積極的でない企業は、投資家から敬遠され始めている。

さりとて、東京ガスはガス会社である。ガスを燃やせば、自ずとCO2は発生する。脱炭素を目指すことは、自社の存在理由を否定することにもつながりかねない。それくらいの大胆な決断であるがゆえ、業界はこの発表に揺れたのだ。

東京ガスの内田高史社長は、この決断に至った胸の内を明かす。

「わが社はずっと“脱”炭素はありえない、“低”炭素だと言い続けてきました。私自身、再生可能エネルギーだけで世の中のエネルギーすべてを賄うのは無理だと思っている。できないことを掲げるとウソになってしまいます。

しかし、日本政府は今世紀前半のできるだけ早期に『脱炭素社会』を目指すとしていて、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)でも脱炭素は確かな流れになっています。エネルギー事業者も、この流れに真正面から向き合わざるを得ない。では、わが社が誠実に言える精一杯のことは何なのか。それが『CO2ネット・ゼロ』でした」

ネットは、グロス(総量)に対して正味の量を指す言葉だ。炭素に当てはめるなら、排出は低炭素で限りなくゼロに近づけつつ、CO2回収技術や海外でのCO2削減を組み合わせて、差し引きゼロにする取り組みが「ネット・ゼロ」といえる。

ネット・ゼロが脱炭素なのかどうかは意見が分かれるところだろう。ただ、エネルギー会社としてかなり踏み込んでいることは間違いない。企業の気候変動対策を分析・評価するNGO、CDPジャパンの高瀬香絵シニアマネージャーは、東京ガスの新たな方針を次のように評価する。

「究極には総量ゼロが理想ですが、ネット・ゼロは日本どころかグローバルの化石燃料企業でも先進的です。ぜひ世界にアピールして、業界をけん引していただきたい」

文=村上 敬 写真=宇佐美 雅浩

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