ところで、サーバー事業で知られるさくらインターネットがなぜ宇宙なのか。そこには、壮大な構想がある。
2018年7月31日に行われた「Tellus」の開発・利用促進を行うアライアンスの記者発表会では、同社のフェローである小笠原治が、「XData Alliance(クロスデータアライアンス)」と名付けられたパートナーシップにより、衛星データに直接的に関わってきた企業だけでなく、その可能性にチャレンジする多様な企業を巻き込み、宇宙データビジネスの新しいあり方を提案した。
2018年7月31日に行われた「Tellus」の開発・利用促進を行うアライアンス「xData Alliance(クロスデータアライアンス)」の記者発表会の様子。壇上はさくらインターネットの小笠原治。
Tellusは、さくらインターネットの手によってデータと開発環境を備えているのだが、ログインしてどう使えるかをもっと分かりやすくイメージさせなければ利活用の促進につながらない。今後、多くの人が使えるアプリケーションの提供を増やしていくためにも、様々な企業が参画するxData Allianceが有用な仕組みになる。
そして、さくらインターネットは、宙畑に声をかけた。同社はそもそも宇宙開発企業ではない。Tellusとアライアンスを進めていく中で、そして情報収集の中で、いつも “目に付く” WEBサイトがあったという。それが宙畑だ。さくらインターネットの城戸は「だったら一緒にやろうってなったんです」という。
編集長の中村も宙畑の立ち上げ後、1年ほど経過していたこの時に、さらなる展開を考えていた。
「私たちも、よりビジネスに踏み込んだ内容にチャレンジしたいと考えていました。技術立国の日本は“作り手”の情報は豊富ですが、その“活用”となると事例が多いわけではないと認識していましたし、じゃあ自分たちでも衛星データを使ってビジネスの可能性を考えてみようと」
単独で地球を周回していた宙畑という衛星がTellusというマザーシップにドッキング、というイメージだろうか。2018年12月、宙畑は「Tellus」プロジェクトの一員として、情報発信の窓口として、大役を担うことになったのだ。
宙畑は現在、20人ほどのスタッフがいる。バックアップするさくらインターネットからも参加したいという有志が増えているそうだ。中村は言う。
「Tellusを使う企業が、宇宙関連ビジネスでユニコーン企業になるのも夢ではないでしょう。その時に、『宙畑を読んで刺激を受けた』とその社長が言ってくれると嬉しいですね。宙畑を読んで、Tellusでビジネスを加速させ、宇宙開発を盛り上げる、そのサイクルが現実になることにワクワクしています」
一方、城戸も、「私は現在さくらインターネットに在籍しているので、その立場はTellus側に近い。TellusのPR、xData AllianceのPR、そしてイベントなどの立体的な企画を中村編集長とも協力して広く取り組んでいきます」と期待を寄せる。
宙畑は、宇宙開発の入り口として、誰もが分かりやすく、可能性を感じてもらえる情報サイトとして存在するだろう。「宇宙事業が、宇宙業界にしか無いと考えられていた時代は終わり」と中村の言葉が印象的だった。