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2019.12.18 16:30

世界からも注目された #令和 フィーバーを振り返る。なぜ「バズった」のか



10月22日、皇居に集まった各国の要人たち(Photo by Kimimasa Mayama/Pool/Getty Images)

では、なぜ「令和フィーバー」は世界の人たちを巻き込んで拡散されたのだろうか。

日本の改元に多くの関心が寄せられた背景には、まずツイッターをはじめとしたメディアの進化にあるだろう。ツイッターがサービスを開始したのは2006年。フェイスブックは2004年創業と、SNSはここ10年近くで発展してきた。情報の発信、享受をハイスピードで行うことが可能な時代を迎え、「令和」に向けた日本の動向動きは話題になり、世界規模で拡散され「バズ」となったのだ。

また、今回の改元の発端となったのが現上皇の生前退位に伴うものであることも、「令和」が注目される一因であるだろう。昭和から平成への改元は、昭和天皇の崩御によるものであった。海外メディアの報道は天皇の崩御を伝えるものが中心であり、それに伴って改元がなされることは、あまり認識されていなかったと見られる。そのため日本の「元号」や伝統的な儀式を始めて知った海外の人も多かっただろう。

「あけおめ」と同じ現象で、ムーブメントに

計算社会科学の専門家である名古屋大学大学院情報学研究科の笹原和俊は、「ソーシャルメディア空間では、各種の感情の中で『怒り』がもっとも拡散されやすい」という実験結果があることを本誌コラムで指摘したが、この広がりについてどのように見ているのだろうか。

「元号が変わる4月1日に令和に関する発信が多かったと思いますが、これは『あけおめ』と同じ現象です。つまり、日本人であることのアイデンティティーを共有し合ったと言えます」

社会心理学的には、愛着や忠誠の態度により所属意識を持つ集団を意味する「イングループ(内集団)」だと、笹原は指摘する。実は、怒りと同程度に「喜び、ポジティブなことは伝わりやすい」とも語った。

さらに笹原は「その日本内部における盛り上がりをツイッター上で見かけた海外の人たちが、真似するような行動様式を取り、祝福や賞賛がムーブメントとなり、拡散したのでは」と推測した。

新時代「令和」の幕開けは、日本文化の新たな一面を海外に発信し、2020年に向けて注目される好機となったであろう。

文=河村 優、督あかり

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