カリスマファンドマネージャー「投資の作法」

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来年に迫る「東京オリンピック」。景況など祭りのあとを心配する声があるのも確かだが、地方は自らの魅力を見直すことで発展し、私たちの生活はより豊かになる、と筆者は語る。


2020年の東京オリンピックのあとの日本経済はどうなるのだろうか。

「厳しい不況がやってきて、日本経済は長い冬の時代に入るだろう──」  

そのような暗い見通しを持っている人は少なくない。果たして、それは本当なのだろうか?  

これから人口減少が加速する。特に、都市部より地方のそれがもっと加速する。なので、地方はもっともっと厳しくなる。これもおおかたのコンセンサスだ。

過去に本連載(「Forbes JAPAN 2019年5月号」P.102-103)でも触れたように、私は富山県の朝日町で微力ながら地方創生の活動を始めた。総論ではなく、各論で地方との関わり合いを持ち始めると、今までは見えなかった明るい未来が見えてきた。自分たちが考えているほど、決して未来は暗くないのだ、と。  

少し全体感の話をしよう。令和時代は「第4次産業革命」が本格化する時代だ。第4次産業革命とは、人工知能(AI)やモノのインターネット化(IoT)といった技術による製造業やサービス業の革新のことを言う。これは、少子高齢化の日本にとっては大きな福音になりそうだ。  

地方にはすばらしいものがたくさんある。美しい自然や新鮮な食材、豊かな文化、ゆとりのある生活環境などはほんの一部に過ぎない。朝日町にも非常にすばらしい“コンテンツ”がたくさんある。立山連峰の美しい山並み。立山から流れてくる地下水が自噴してくる水道いらずの豊かな水。ハワイのような大きな湾曲した海岸線に、透き通った海辺のヒスイ海岸。実際、ヒスイが打ち上げられてくる。おいしい米に、おいしいお酒。泉質のよい小川温泉。茶せんで泡立てて飲む黒茶の「バタバタ茶」。おいしいタラ汁。さらに、そのタラ汁を提供する店がつらなる「タラ汁ストリート」というものもある。

そしてなによりもすごいのが、あさひ舟川「春の四重奏」という風景だ。春になると、立山連峰の白(雪をかぶっているから)、桜のピンク、菜の花の黄色、それからチューリップの赤が4層に重なり、それを同時に見ることができる。

マインドシェアを巡る地方の競争

しかし、それらは地元では当たり前過ぎて、競争力のあるものだと気が付かない。とても残念なことであるが、それが地方ではわりとふつうだ。なぜならば、客観的な自分たちの強みというのは、相対的なものなので、他の地域のことを知らないと比較ができないからだ。  

地方に必要なのは、その地方のコンテンツを売れるものとして組み合わせる「編集力」で、優れたデザイナーやコピーライター、起業家などがその役割を果たすことができるだろう。そのような編集力に優れた地域や企業としては、北海道の東川町やヤマガタデザインが手がける山形県の庄内地方、里山十帖の魚沼市などが挙げられる。  

文=藤野英人

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