特別な色の装束や道具、関係の建物などの解説に、テレビ各局は何時間も割き、内外のお祝いコメントが報道され、「令和を良い時代に」という話題がメディアやSNSを賑わせた。式典には“インフルエンサー”としての芸能人も多く招待されていたようで、ネット時代を反映したようにも感じていた。
とりわけ、雅な十二単装束や本物の宝石が散りばめられたティアラとドレスの新皇后さまのお姿が、御所にも入った多くのカメラで細部まで伝わり、注目を集めた。少し前のイギリス王室の結婚式と比べても引けを取らないくらいのマスコミ報道だったように思える。
欧米と日本の違いはどこに?
多くの女子は幼い頃からプリンセスに憧れ、当たり前のようにその物語を読んだり見てきたりしている。最近でいえば、英国のハリー王子とメーガン妃の結婚式は、まさにその世界を現実に見るようなものだっただろう。
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そうか、多くの女性があのイメージに憧れているのだ。あの衣装や髪型に憧れているのか。明日から、結婚式ではあのドレスが流行し、あの髪型が流行るのだ……。現に、イギリスやオランダでは、王妃のファッションが雑誌にも登場し、同じものが売れたりしている。髪型も流行になったりしている。
では、日本はどうなのだろうか。テレビで報じられた今回の一連の儀式を見ながら、そのような考えに至った。
しかし、日本の美容は、いつの時代も皇室がモデルではなく、一般庶民、市井の女性がモデルとなっている。それがヨーロッパなどと決定的に違う。これだけパレードで湧いても、マスコミがテレビカメラやスチールカメラを入れても、街中では同じようなファッションの女性も、結婚式でも同じようなドレスを見ることがない。
あわてて、いくつかの大手老舗ホテルの貸衣装店のショーウィンドーを覗きにいったが、パレードとは全く違ったブライダルドレスやパーティドレスが飾られ、アマゾンで皇室ファッションや皇室スタイルを検索しても、出てくるのはイギリス王室関連のものだった。
本国イギリスでは、なおさらロイヤルファッションの本が多く、なかにはハウツー本まである。なんと、王妃を目指そうという本である。ヨーロッパに限らず、王妃のファッションは、“王妃がいる国”で話題になっているようだ。