「美しくいたい」願望が健康増進に役立つ 高齢者と美容のいま

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9月の第3月曜日は敬老の日だ。今年は16日だったわけだが、意外とその由来は知られていない。戦後すぐに兵庫県の小さな村で、農閑期にお年寄りを元気付ける「としよりの日」として自主的に定められ、それが全国へと広がり、その後、国民の祝日として制定された。

日本は、世界でも高齢化が最速で進んでいる国といわれるが、既に70年以上も前にお年寄りを敬うという気運ができていたのが驚きだ。

興味深いのは、当時のお年寄りの対象が、兵庫のこの村では55歳以上だったそうだ。国民的漫画の「サザエさん」のキャラクター設定によると、波平さんが53歳、舟さんが47歳だった。55歳が定年の時代だったので、会社帰りに屋台の焼き鳥を食べる波平さんをみると、確かに53歳なのかもしれない。その他のキャラクターの年齢も今とは完全にずれていて、時代の差をリアルに感じる。

また、舟さんが美容に熱心かというと、そうではなく、おそらく40代後半は控えめで地味な感じに読み取れる。まして、50代は完全に年寄り層だ。今では考えられない。

政府の発表では日本人の寿命は毎年延び、平均年齢もとうとう80歳を超えた。定年制度も変わりつつあり、60歳を超え、どんどん上がってきている。舟さんのイメージも、現代では70歳くらいにも見える。

そう、70代の女性でも80歳を過ぎても、女性は美容に関心が高く、おしゃれで美しいのが現代なのだ。役者の方も政治家も、見た目の年齢と実年齢のギャップにびっくりすることもある。テレビなどで見ているとわからないが、病気などでニュースになり年齢が公表されると、ずいぶん上の世代だったりして、驚いてしまう。

若く見られたいが健康の源泉

そんな日本では、高齢者の美容も世界に先駆け進化している。「アンチエイジング」や「美魔女」という言葉のもっと先に、「シルバー」とか「ゴールデン」とか「プレミアム」とか、いろんな呼称で70歳以上の女性むけの美容特集が頻繁に登場し、メディアを賑わしている。

高齢者の市場でも、少しでも背が高く見えるようにとヒールのあるウォーキングシューズや小顔効果のある帽子、おしゃれなジャンパーなどのファッションアイテムの人気は高い。
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文=朝吹大

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