「ホテルが位置するエリアは、京都の中でも地下の天然名水を有する場所です。近くに位置する銭湯の白山湯は、地下の天然水をかけ流しで体験でき、その天然水を直接飲める水風呂があります。そこには、水を汲みに来る料理人の人たちもいるほど。この場所でやるからには、ここでやる意味のある物語をつくるべき。そう思い、白山湯さんから天然名水を分けていただき、その水を使ったあめ玉を京都の大文字飴さんと一緒につくりました」(成瀬)
また、“瞑想飴”と一緒に配布されるしおりには、あめ玉を舐めるときに一緒に聴く「サウンドメディテーション」のコードが書かれている。このサウンドも、白山湯や近くの川の流れる音などをフィールドレコーディングして作られたものだ。
写真=ON THE TRIP提供
このサウンドを聞きながら、目を瞑り、飴を舐めることに集中する。ホテルの部屋にいながら、その場で“禅”を体験することができる。
“瞑想飴”の他に配られるガイドには、ホテルを観光拠点として楽しめるよう、京都で実際に禅を体験できると場所、そしてお茶をテーマにした情報が記されている。
写真=ON THE TRIP提供
ただ泊まらせるだけのホテルになってはいけない
こうした体験だけでなく、「オリエンタルホテル京都六条」は“京都らしい世界観”を意識して館内をデザイン。ロビーラウンジは京都の伝統文化として育まれ、客人をもてなす「茶庭」の文化がモチーフとなっており、茶室へと続く「露地」が表現されている。
また照明には祭りの提灯をモチーフにした特注製作の灯りを用いているほか、中庭には石畳が配置。まるで茶室にいるような雰囲気の中、六条に湧く天然の地下水を汲み上げて使用する銭湯「白山湯」の水を使用して点てられた抹茶のサービスは、ここでしか味わえない体験となっている。
「オリエンタルホテル」のブランドを展開するホテルマネージメントジャパンは、すでに各地でホテルを展開している中、なぜ京都に禅と茶庭をコンセプトにしたホテルを新たに手掛けようと思ったのか。今回のホテルの責任者であり、運営本部長の荒木潤一は次のように語る。