「オリエンタルホテルは明治3年、神戸居留地に誕生した日本最古のホテルで、これまでにその土地が持つ雰囲気に合わせながら文化を発信してきました。私たちの考えとして、ホテルは人が集まる場所で、文化を発信できる存在であるべきだと思っています。
そういう点において、京都はなおさら“日本らしさ”を感じられる文化を提供していかなければいけない場所。しかし、街を見てみると外国人のウケが良さそうなものを提供しようとしてしまっている。それは表面的な“日本らしさ”であって、本質的な“日本らしさ”ではありません。ただ和風の部屋を提供するだけではホテルの価値がないですし、それではすぐに限界が来てしまう。
ですから、我々は『質へのこだわり』『美意識』『おもてなしの心』という3つの柱に、その土地が持つ価値を掛け合わせて具現化していくことを大事にしています。そこを軸に考えたとき、日本らしさ、京都の良さは“禅”にあるという答えに辿り着き、オリエンタルホテル京都 六条のコンセプトができあがりました。
京都では新たにホテルが建設される話がでると反対運動が起きがちですが、それは街の雰囲気、文化を大事にしていないから。いかに建物を和風にしても、中身がダメだと文化が壊れてしまう。ただ泊まらせるだけのホテルになってはダメで、地域の特性を生かして、このホテルがあって良かったと思ってもらえるようにしないといけない、と思っています」(荒木)
毎日、宿泊客に無料で提供される「抹茶」 写真=オリエンタルホテル提供
オープンから約2週間。紅葉シーズンも相まって、オープンしたばかりとしては平日の稼動もよく、週末はほぼ満室が続いているという。「The Essence of Nippon」を掲げている、オリエンタルホテル京都六条。今後も地域の人たちの力を借りながら、新たな体験の創造にも取り組んでいく予定だ。