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2019.11.07 07:00

北欧のイノベーションの震源地で見た、「偶然」を生む必然の仕掛け

ストックホルムのコワーキングスペース「Epicenter」。コミュニケーションの場となっている1F共有部

ストックホルムのコワーキングスペース「Epicenter」。コミュニケーションの場となっている1F共有部

コワーキングスペースがイノベーションの拠り所となると言われて久しい。実際、世界各地に様々なコワーキングスペースが存在し、そこから新たなアイデアやビジネスが日々生まれている。

日本では、オフィスのないフリーランスやスタートアップしたばかりの起業家、またはそんな彼らの新しいアイデアに興味を示す大企業が利用しているイメージが強いが、世界の実情はどうだろうか。

産業技術総合研究所の人材育成事業「産総研デザインスクール」と博報堂の専門組織「博報堂ブランド・イノベーションデザイン」が合同で行ったスウェーデンの訪問調査では、明確な目的を掲げるコワーキングスペースに出会うことができた。首都ストックホルムのど真ん中にあるEpicenter。今回はその実態を紹介する。

都市のど真ん中でデジタル・イノベーションを育む

今回訪れたEpicenterは、デジタル化によって社会をよりよいものに発展させていくことをビジョンに掲げる、スウェーデンでも最大規模のコワーキングスペースだ。

「ストックホルムをデジタル・イノベーションの震源地に」という不動産デベロッパーの呼びかけが発端となり、2015年に設立。音楽配信サービスのスポティファイなどの国内で急成長しているIT企業を中心に、Google for Entrepreneursやボルボなど、300社・3400名の会員が在籍している。


Epicenter入口には会員企業のロゴが並んでいる

epicenterは、英語で「震源」という意味。まさにここが、コワーキングスペースの枠を超え、デジタル化による社会変革を起こすネットワークの「震源地」となることを目指している。

従来スウェーデンでは、シスタ・サイエンス・シティなど都市部から少し離れた郊外に設立された大規模なサイエンス・パークがイノベーション創出を牽引してきたと言われる。だが、Epicenterはあえてストックホルムの中心部に拠を構え、都市における多様な人々の“偶然の出会い”からイノベーションが生まれるという視点を重要視している。

Epicenterはどのような構想で「デジタル・イノベーションの震源地」を築こうとしているのか。視察をしていると、これも出会いを創出するEpicenterの賜物なのか、幸運にも共同設立者のOla Ahlvarsson氏に話を伺うことができた。

“成長している企業同士”を掛け合わせる

Ola Ahlvarsson氏は現在49歳。スウェーデンのインターネット業界でビジネス・コーチングや起業家支援に携わってきた人物で、Epicenterの発起人の一人だ。
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文=山田 聰

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