データを使って、ファッションに関する固定概念を壊していけたら
“ファッションテック”という言葉が叫ばれて久しいが、未だに日本のファッション業界はテクノロジーを十分に活用できている状況とは言い難い。そうした中、アンドレアスはファッション業界にどんな可能性を見出しているのか。彼は「自動化できるものは全て自動化した方がいい」と言い、このような持論を展開した。
「ファッションはデザイナーのみが知るミステリーがあり、何が売れて、何が売れないかがブラックボックスになっている、とよく言われています。ただ、ECサイトには豊富なデータがある。そのデータをもとに、ファッションに対する仮説を立てるのが非常に楽しみですし、ファッションに関する既存の固定概念を壊していけたらいいですね。
例えば、ヨーロッパではファッションを快適か、快適ではないかという二項対立で考えてしまいがちです。ただ、快適な上にオシャレな格好はできないのか。私たちが見極めたいのは、快適さとオシャレさをトレードオフをして、どちらかを諦めなければいけないのかということなんです。
私たちはなぜ自分の好きなものを着るのか。自分の周りの人が気にいるような服を着る方がいいのではないか。豊富なデータを活用していけば、良い印象を与えたい人に気に入ってもらえるような予測モデルを作ることができるかもしれません。
また他にも、多くのオプションの中からどのように絞り込んで、何を買うべきなのかを見つけられるようにするモデル、さらには、私たちがお客様の目的とするものに対して最適なお買い物をできるようにするモデルが作れるかもしれません。
人々がコンスタントにフェイスブックに自分の写真を上げていれば、その着ている洋服について調査できる。データの量は本当に膨大です。フェイスブックに載っている洋服の写真を機械学習で分析していくだけでも、すごく面白い仮説が立てられると思います」(アンドレアス)
また、金山も「具体的な戦略は話せないが」と前置きをした上で、今後のZOZOグループの戦略について、こう明かす。
「全体の戦略としては、“ZOZO AI化元年”と言っているように、AIの導入や活用を行います。それによる売上アップや利益額増、コスト削減、従業員満足度向上、顧客満足度向上、など全面的にやっていきたいと考えています。
また、アンドレアスを中心に文化として、データドリブンな組織にすることもやっていきます。個々人のアクションを変えたり、具体的なアルゴリズムを作ったり。具体的なアドバイスをするというよりは、チームとしてこの組織をデータ活用ができるように底上げをしてほしい、そういう集団に導いてほしいと考えています」(金山)
ヤフー傘下に入った後のZOZOはどんな展開を見せていくのか。金山、アンドレアスを中心としたZOZOテクノロジーズの動向に期待したい。