ビジネス

2019.10.02 17:00

異能のアンドロイド研究者「ミスター・ロボット」が定義する『心』とは


━━アンドロイドには、男性よりも女性のほうが多いようです。なぜでしょうか?

そんなことはありませんよ。記者達がいつも、美しい女性アンドロイドの記事を書きたがるだけです。私はそっくり同じ5体の男性アンドロイドを製作しました。この5体の他にも男性アンドロイドはありますし、1体はトランスジェンダーです。私が作った中では女性のほうが少ないんです。



━━メディアが曲解しているのはなぜですか?

記者の大半が男性だからです。

━━クリエイティビティの話に戻りましょう。いつか創造性を持つAIが登場すると思いますか?

意識の次に構築すべきなのは、AIとロボットの創造性です。ただし、トップレベルの創造性を目指そうとすると、難しいですね。でも、並みのレベルの創造性になら、ロボットは追いつけると思います。

━━プロジェクトを始めたときに、何を期待していましたか? また、過去20年間で最も重要な発見は何でしたか?

期待はまったくありませんでした。常に新しいものを発見し、プロジェクトを拡大するだけです。

━━多くの人が、あなたを世界最高のロボット研究者の1人と考えています。そのことについて感想は?

だから? 私は過去の成果ではなく、常に前を見ています。まだ年寄りというには早く、十分に若いですから。これまでの業績を振り返るのではなく、常に次に何ができるかを考えています。引退には早いので。

━━日本で、アンドロイドとロボットが世界のどこよりも受け入れられているという見解について、あなたも同意していますか?

はい。

━━それはなぜだと考えますか?

もう一度あなたに質問したい。なぜあなたは、人とそれ以外を区別する必要があるのですか? なぜ、ロボットを人のように受け入れないのですか? 私には、その考え方が理解できない。オーストリアでそう思われている理由を説明していただければ、日本との違いを説明できます。 なぜそう思うのですか?

━━おそらく、日常生活に存在するロボットの数がそれほど多くないからでしょうか。もしくは、人間がロボットより優れていると思っているからでは……。

なぜですか? 日本人は、そうは思いません。私たちは人とそれ以外を区別しないのです。日本は同質的な社会です。タクシー運転手は助教授と同格です。私たちは皆家族のようなものなのです。日本の考え方は独特なんです。
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文=Heidi Aichinger、Elisabeth Woditschka 翻訳=塙貴子 編集=石井節子

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