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石黒浩教授 by Gettyimages

2015年、マツコ・デラックスの酷似ロボット「マツコロイド」(「カンヌライオンズ」で受賞も)登場で高視聴率を記録したTV番組、『マツコとマツコ』のアンドロイド製作者であり、「世界を変える8人の天才」にも選出された人間酷似型ロボット研究の第一人者、石黒浩教授のインタビューがForbesのドイツ版、「Forbes Dach」で公開された。以下翻訳で紹介する。


自分そっくりのアンドロイドを制作した石黒浩は、この「ジェミノイド」の開発にすでに9年間を投じている。ロボット工学の博士であり、大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻の石黒研究室主催者である彼の進化は止まることがない。アンドロイド開発という大きな挑戦を経て、石黒が見つけた次の課題は、ソーシャルネットワークだ。

54歳の日本人研究者には、さまざまな「都市伝説」がつきまとう。ウィーン大学教育哲学学部の「ロボフィロソフィー・コンファレンス」で会った石黒は、黒い服に身を包んでいた。話している間、彼は相手の目をほとんど見ることがない。その両目が凝視した1枚のコインを、指先がもてあそんでいる。少し疲れた顔をしているように見えるのは、おそらく次から次へと取材が入るからだろう。それが彼の日常のようだ。

メディアは、「ロボットの天才」石黒浩に熱い関心を注いでいる。その主な理由は、石黒が自分にそっくりなロボット「ジェミノイド」を制作したことだ。この分身は、たとえば講演等で本人に代わって講義を行うそうだ。

石黒は、10年ほど前からジェミノイドの開発を始めた理由を「自分自身をよりよく理解するため」と語った。

彼には、40代前半の本人をモデルに制作された、有名なロボットの「双子」がいる。50代となった生身の石黒の方は、40代のロボットに合わせて軽い美容整形を施したとか。彼に関する多くの都市伝説の少なくとも1つは正しかったわけだ。

誰しも、近い将来、アンドロイドが人間と共存するという予言を耳にしたことがあると思う。アンドロイドが社会の中心的な存在になり、その数(人口)も格段に増える時代が到来すると。ヒューマノイドロボット(人間型ロボット)が仲間やヘルパーとして近所に住み、安価な労働力となって経済を刺激することになる未来がくるなら、石黒の研究はきっと、そんな未来を先取りしている。

━━ジェミノイドの開発に取り組んで、どれぐらいになりますか?

2009年にこのプロジェクトを始めたので、9年です。

━━プロジェクトが完了する日は来るのでしょうか?

いいえ、「完了」はありえません。たとえばロボットの会話スキルなど、常にソフトフェアを改善し続ける必要がありますから。


文=Heidi Aichinger、Elisabeth Woditschka 翻訳=塙貴子 編集=石井節子

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