そんな中、私たちの日常生活をガラリと変えてしまう可能性が高いのが「調理ロボット」。ボタン一つでロボットがご飯を作ってくれる……そんなSF映画で見ていたような世界が、今まさに実現しようとしています。
調理ロボットと私たち人間はどのように関わっていくのか、それによって見えてくる未来の暮らしとは──。調理ロボットの開発を手がける日本発のスタートアップ、コネクテッドロボティクスの沢登哲也代表に話を聞きました。
「調理をロボットで革新する」というビジョンのもと、飲食に特化したロボットの開発を行う沢登哲也氏。
──フードテックは、今かなり注目されているイノベーション分野ですが、調理ロボットを開発しようと思ったきっかけは?
学生時代にロボコンで優勝したくらい、昔からロボットにのめり込んでいました。大学院を卒業して起業したいと考えた際、もちろんロボット開発も視野に入れていたのですが、2008年当時はまだまだ技術的にも市場的にも難しい状況で……。そこで飲食業での起業を思い立ち、そのノウハウを学ぶために飲食の会社に就職しました。
でもそこで飲食業の大変さを目の当たりにして、心身ともに疲れ果ててしまい、ロボットの会社に転職します。そこでキャリアを積み再び起業しようと考えた時に、あの飲食業界の重労働をロボットで解決できないかと考え、調理ロボット開発の会社を設立しました。
──ファーストプロダクトである「たこ焼きのロボット」はインパクトがあって面白いですね。
やるからにはまず「人々から喜ばれるものを」と考えていた時に、子どもたちと一緒に楽しめる“たこパ(たこ焼きパーティ)”っていいなと思ったんですよ。見て楽しいし、食べても楽しめる。
それでちょっと調べてみると、たこ焼きって鉄板の前で調理するので暑いですし、それなりに技も必要で大変なので、人がすぐ辞めちゃうという話があって。それならロボットが解決できるのではないかと。ロボットのスタートアップで、たこ焼きで勝負しようという会社もないだろうし、単純に面白いかなと思いました(笑)。
“たこ焼きロボット”及び“ソフトクリームロボット”は、長崎のハウステンボス他で、すでに実装されている。
実際にリリースしてみると、予想以上に皆さん面白がってくれて、スタートアップ実践イベント「Startup Weekend Tokyo Robotics」で優勝し、メディアにもたくさん取り上げてもらい、投資も決まっていきました。現在はたこ焼きの大手企業から注文をいただけるようになり、事業として成長しています。