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2019.09.23 07:00

投資するなら今 インドのリサイクルと循環経済に期待できる理由


同地域のマレーシアなどの国と違い、インドのリサイクルセクターは輸出入に頼る必要がない。インドにはリサイクル分野で独自のエコシステムがあり、全てを国内で管理できる。インドのプラスチック廃棄物の輸入量は非常に少なく、2018年度は約4万8000トンだった。中国の廃棄物輸入禁止の影響を受けたのがインドの一部の地域に限定され、全国的な影響がなかった理由は、インドの輸入の絶対量が少ないことと、国内で部分的な輸入禁止令が実施されていたことにあるかもしれない。

4. PETのリサイクルが非常にうまく機能している

インドにおけるPETのリサイクルは非常にうまく機能している。インドでは、収集から服や布地を作るところまで全てのバリューチェーン(価値連鎖)が整備されていて、関係者はプロセスの全ての部分で金を稼いでいる。そのため、一部の地域のリサイクル率は世界でも最高レベルだ。複数の報告書によると、インドの全国レベルのPETリサイクル率は、欧州の48%や米国の31%よりはるかに高く、なんと90%に達するとされている。

5. 多角的な投資の機会が存在する

賢い投資家は扇情的な投資機会に飛び付かない。他の商品相場と同様、インドのリサイクル業界の一部は変動することを予期しておくべきだ。商品企業には多くの圧力がかかるため、業界の中でうまく機能していないセグメントを見つけるのは簡単だ。

投資の観点から見てリサイクルの良い点は、プラスチックが下がっているときにアルミニウムや廃棄物など他の資材が上がることだ。またインドでは、バリューチェーンの一つの部分に過剰に頼る企業もある一方、うまく多角化させた企業も存在する。

廃棄物輸入禁止の方針が、インドのリサイクルセクターの一部に影響を与えたことは間違いない。埋め立て地でごみを収集するインドの廃棄物収集者らの暮らしは特にそうだろう。しかしインドのリサイクル業界は、輸出入量が減ったとしても全体として前進を続ける上で良い条件を備えている。

このセクターが進歩すれば、こうしたごみ収集者の置かれた状況も最終的に改善するはずだ。インドのリサイクルセクターの拡大を目指す中、私たちが抱えるより広範な課題は、廃棄物収集者がより高い尊厳や健康状態を持ち、より良い労働環境の中で働き生きていけるよう、その生活の質を改善するようなより形式化されたシステムへと進化させることだ。インドでは、この目標の達成を支援するためのリソースと安全装置を提供できるリサイクル生活協同組合が既にいくつか存在している。

これこそ、私たちがインパクト投資、そして触媒資本と呼ぶものだ。これは、地球をより良いものにし、その過程で多くの人の生活を改善する循環経済を作るための投資なのだ。

翻訳・編集=出田静

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