ビジネス

2019.09.13 18:00

複業家・植野有砂が語る「退路を絶たない」挑戦のススメ

複業家 植野有砂




どちらか1つだと自分ではなくなる

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植野が様々な肩書を持つようになったきっかけは、フィグ&ヴァイパーに正社員として就職してすぐだった。「当時の口癖は“マジお金ない”だったくらい最初はお給料も少なくて。」と当時を笑いながら振り返る。

当時、会社からは副業が許可されていた。趣味で始めたDJも徐々に仕事になっていき、睡眠時間も削られ多忙を極めたが、それでも楽しんで両立していた。

それから数年経った後、勤めていたブランドが他の企業に売却という形で吸収されると、企業規定も変わり植野の副業も禁止になった。
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「アパレルの仕事もDJも好きだった。どちらか1つだけだと自分じゃなくなっちゃうと思って、相談をして、正社員から副業もできる業務委託に契約を変えてもらったんです」

税金や保険の手続き、安定した収入など、正社員という契約で守られていた部分もあった。しかし植野は、それよりも「自分らしさ」や「好きなこと」を諦めきれず自ら環境を変えていったのだ。

「モデルやインフルエンサーとして活動していると、自分がブッキング側にまわったときに気をつけることもわかるし、お金の流れも知ることができます。表に出る仕事と出ない仕事、両方やっているからこそ活かせることもあって面白いですよ。業務委託になって、すべて自分でやらなければいけないという経験ができたのはすごく良かったです」

保険かけてるから大丈夫です

植野のように、リスクを抱えながらも、「好きを追求」できる人間は実際のところそう多くないだろう。正社員から業務委託への変更、それだけでかなりの不安を覚えるはずだ。なぜ彼女は次々と“危険な”挑戦ができるのか。

植野に聞くと「最悪中の最悪のシナリオを想定して、そうなったときにどうするかを考えています」と答える。やみくもに手を出すのではない。失敗したときの最悪のケースを常に頭で描きながら、そうならないためにどうすべきか、そうなったときにどうすべきかを考えているというのである。

加えて、植野は「私、保険かけてるから大丈夫です」とあっけらかんと話す。「あれがだめでもこれがある」という状況を作っておくことで、挑戦のハードルも下がり、逆に全力でそれに取り組めることで、自身でやれることの幅が広がっていくという。「自分は何でも屋なんです」と植野は笑う。
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文=Forbes JAPAN編集部、写真=福嶋賢人

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