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子供のころの最もつらい思い出の一つは、歯列矯正のために装着していたブラケットのワイヤーを調整してもらっていたときのことだ。

今では歯並びを矯正してよかったと思っているが、特に自分に対する自信を失いやすい10代のころには、あの装置を付けているのは恥ずかしことでもあった。口いっぱいに並んでいる金属のブラケットを、隠す方法はなかったのだ。

「消えゆく」金属製

その金属製のブラケットを最近あまり見かけなくなったことに、皆さんは気づいていただろうか?

何百万人ものティーンエイジャーたちの祈りに、米アライン・テクノロジー(Align Technology)が応えたのだ。同社が開発したマウスピース型の透明な矯正装置「インビザライン・システム」は、すでに8000万個以上が販売されている。

それだけではない。インビザラインは初期投資家たちにも大きな利益をもたらした。アラインの売上高は過去10年間で530%増加。19億7000万ドル(約2120億円)に達している。株価も3400%値上がりした。

開発期間は40年

金属製の歯列矯正装置は、1970年代から使われてきた。なぜプラスチック製の器具が開発されるまでに40年以上もかかったのだろうと疑問に思う人もいるだろう。その答えは、私たちには「技術がなかった」ということだ。

アラインは3Dプリンター技術によって、そうした状況を「破壊」した。口の中をスキャンして歯の「地図」を作成し、カスタマイズしたマウスピースを3Dで「プリント」することを実現した。

3Dプリントで作成されたパーツは多くの場合、より軽量で効率的、価格も安い。そして、過去に人間の手でつくられてきたものより精度が高い。さらに、それらは完全なカスタマイズが可能だ。この技術によって、企業は製品の新たなつくり方を考案できるようになった。

例えば、歯並びは人によって異なるため、歯列矯正装置と同様、義歯をつくる場合にも完全なカスタマイズが必要になる。これまでは、少なくとも6回程度は歯科医院に通わなければならず、痛みを伴い、何度もレントゲン写真を撮る場合もあった。だが、3Dプリント技術を用いれば、多くの場合は型を取る必要がなく、通院もせずに義歯をつくることができる。

編集=木内涼子

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