欧州で排ガス規制がだんだんと厳しくなっていく中、カーメーカーは本気でCO2の排出を減らす動きを見せなければならない。フォルクスワーゲンID.3、ポルシェ・タイカン、ホンダEなどのEVは、どのブースへ行っても話題になっていた。しかし、EVを作る責任を感じているメーカーが多くとも、やはり、フェラーリやランボルギーニなど高性能車を提案するメーカーもあった。
この記事では、9月10日から22日まで開催されているフランクフルトショーのハイライトをお伝えしよう。
フォルクスワーゲンの「本気」
今回、トヨタ、日産、フィアット、プジョー、ボルボなど多くのカーメーカーが出展を見送った。派手なブースを建て、そのブースとスタッフを運営するだけで約10億円かかるわけで、そんな予算があったら、他にもっと効果的な使い道はあると多くのメーカーが思うようになってきている。
また、会場内で環境保護団体グリーンピースが「CO2排出の多いSUVをやめろ」と呼びかけていたが、それに対して各社は冷ややかだった。というのも、どこもCO2を出さないSUVを出しており、反応する必要がないからだ。
グリーンピースのデモ参加者たちも、今回のショー内容を見ていれば、きっと本当のことをわかっただろう。各社のEVコンセプトは非常に目立っていたし、 EVやプラグイン・ハイブリッドの市販車も多かった。今後もよりクリーンなSUVは増えてくるだろう。
さて、今回のハイライトの1つは、やはり、ディーゼルの不正問題から立ち直るべく方向性を思い切りEVに向けたフォルクスワーゲンだ。今年のショーの最も重要なモデルを発表したと言える。
「VWのID.3は我が社にとって、ビートルやゴルフに等しい貴重な車種です。このEV車は全く新しい電気時代を迎えようとしています」とハーバート・ディース社長は言う。ID.3ハッチバックの航続距離は最大550kmで、価格は350万円ほど。生産は年内に開始し、納車は2020年半ばだとVW側は話す。
また同車が採用する新MEBのeプラットフォームは、2028年までに70車種のベースになるほど重要だという。VWがいかにディーゼル不正問題から新しい作戦との距離を取りたいか、「VW」という会社のロゴまで変えたことから、その切実さがうかがえる。
「ホンダE」はかわいすぎる?
日本のカーメーカーで唯一戦略的な新車を出したのはホンダだった。プロトタイプを卒業して市販車となった「ホンダE」というEV車は、そのレトロ・モダンな外観を欧米のメディアに「形が可愛い」と褒められた。
主に欧州市場のためにできたホンダE。だが、航続距離が足りな過ぎるとひんしゅくを買ってしまった。航続距離417kmというシボレー・ボルトと、450km以上を誇るテスラのライナップに比べると、ホンダEの220kmはあまり競争力がないという人もいた。