スウェーデンから学ぶ「共創イノベーション」の生み出し方

ストックホルムにあるシェアオフィス「norresken house」

「さまざまな技術や開発のシーズを持ちながら、イノベーションにつながらない」「社会にインパクトをもたらすイノベーションを創出できない」……そんな壁にぶつかっている日本の企業や組織は少なくないはず。

こうした壁に対して、世界ではどのような挑戦がなされているでしょうか。たとえば、イノベーション力やビジネスのしやすさ、SDGsの達成度などが高く評価される北欧最大の国・スウェーデンでは?

今回から数回にわたって、“未来のくらしを共創するテック・リーダーを育む”を目的に発足した産業技術総合研究所の人材育成事業「産総研デザインスクール」と、企業やブランドの未来のための変革を支援する博報堂の専門組織「博報堂ブランド・イノベーションデザイン」とが合同で行った訪問調査をもとに、スウェーデンのイノベーション・シーンの模様をレポートします。


世界を前進させるインパクトユニコーンを生み出す

今回の記事で紹介するのは、ストックホルムに居を構える「Norrsken(ノゥルフィアン)」という組織。現代の技術力こそが世界にあふれる社会的な課題を解決する鍵だ」という考え方をもとに、先進事例を生み出している集団と聞き、訪ねてみた。

お話を伺ったのはNorrsken Houseスタッフ、Oskar Malm Wiklund氏。現在25歳でありながら、数々のスタートアップやコラボレーションに関わる実績の持ち主だ。

「Norrskenは営利・非営利問わず、技術で社会課題の打破を目指す事業を育成する財団です。組織や企業への投資活動に加え、コワーキングスペース『Norrsken House』の運営、独自プロジェクト『Norrsken Initiative』の推進を事業の3本柱に、経済と社会の双方に影響をもたらす卓越した『インパクトユニコーン』を創造することを目標に掲げています」

その言葉の通り、Norrskenでは、設立10年未満で評価額が10億ドル以上、かつ、社会課題解決を目的に活動し、設立10年未満で10億人以上に好影響を与える企業を「インパクトユニコーン」と定義し、その育成を目指している。

Norrskenの第1の機能は、企業や組織への投資活動だ。投資先の選定は、社会的インパクトをもたらせること、製品・サービスの質、技術の拡張性、倫理観が担保されているかが基準になる。これまでに投資した企業は、医療現場の効率化に向け情報システムを開発した「Doctrin」、食品廃棄問題に取り組む「Karma」、大量生産・消費社会に抗して個人間の私物貸借をビジネス化した「hygglo」など、13企業に及ぶ。

ファンディングだけではなく、事業や人材の成長を効果的に促す、「インパクトユニコーンの創造の場づくり」を行っているということが、第2の機能であり、今回私たちが驚いたポイントのひとつだ。



「インパクトユニコーンの創造の場づくり」の実態はストックホルムの中心部に、150年前の電車倉庫を改装してつくられた「Norrsken House」と呼ばれるシェアオフィスにある。「最適な場所を提供すれば、最高の成果が得られる」という理念のもと、資金を提供している企業や組織に場も提供し、事業の創造期の活動を支援している。

文=多々納有希

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