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2019.08.28 07:30

社会課題がユニコーンを生む! スウェーデン「Norrsken」の挑戦


3つ目の機能が、「Norrsken Initiative」と呼ばれる独自のイニシアティブを組成し、社会課題の解決を自ら実践する活動だ。プロジェクトを回すことで得た具体的な視点をNorrsken Houseや投資によるインパクトユニコーンの育成に生かせるという強みを生んでいる。

現在は、汚職フリーの社会を目指し通報し易いシステムを開発する「Klarity」と、自分で自分の人材開発を促進するためのプラットフォームを開発する「29k」という2つのイニシアティブを実行している。

インパクトユニコーンを創出するコワーキングスペース

実際に、Norrsken Houseの中を案内していただき、その機能や利用のされ方を紹介してもらった。

Houseには現在、厳しい入会審査を通過した350人、120社が入居している。入居企業の分野は健康、医療、食、教育など様々だ。会員の属性にも多様性があり、75%が社会起業家、15%がテックアントレプレナー、残る10%が、人材、資金、物資をつなぐ“コネクター”となっている。


Norrsken Houseの入居者が注力する社会課題 公式サイトより(https://www.norrskenhouse.org)

入会するには、ビジネスモデルや成果よりも、ビジョンへの共感やビジョンの実現力を基準にした審査が設けられている。具体的には、既存会員と異なるアセットを持っているか、社会貢献度があるかなど、Norrskenのエコシステムへの潜在的貢献度を考慮している。

こうした厳しい基準を設けたり、コネクターの入居をデザインしているのは、異なったコンピテンスを持ち合わせた人材が交流し合うことが事業の成長を促すと考えるためだ。実際に、コネクターを媒介に、House内の社会起業家とテックアントレプレナーが共同事業を始めることも多いという。

Norrsken Houseは、多様な事業、人材を集め、意図的にそれらが交流し合う仕組みをつくることで相互成長を促し、インパクトユニコーンを社会に創造するエコシステムそのものと言っても過言ではない。

オフィス中を歩いてみると、「パーク」と呼ばれるコワーキングスペースが建物内5カ所に設置されており、利用者全員が自由に行き来できる様子がうかがえた。「タウンホール」と呼ばれる空間は、作業場、食堂、イベント開催場として兼用されており、時と場合により姿を変え、政治家や研究者を招いたトークセッションなども頻繁に開催される。


様々な空間が用意され、企業のほかにUNDP(国際連合開発計画)も入居している

そのほか、打ち合わせに最適な予約制の個室「ガラスハウス」、通話専用の「スカイプルーム」、私語厳禁の「クワイエットルーム」などの多様なワークスペースがあり、用途や働き方に応じて場所を選べるつくりになっている。瞑想室、ランニングクラブなど、会員の心身の健康に配慮した施設も充実。犬や子供を連れての出勤も可能だ。
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文=多々納有希

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